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12月16日(木) 日本代表vs.ドイツ代表 0-3 日本、(2ページ目)

今年最後の代表戦は2006年のワールドカップ開催国ドイツ。DF陣に故障者が続出したとはいえ、0-3の完敗。2005年のアジア最終予選に向けて不安が残る試合となった。

執筆者:小野寺 俊明

後半に入ると、彼らは一瞬のスキも見逃さなくなった。それを象徴したのが9分の先制点。始まりはバラックのFKだった。彼の蹴ったボールはワクのやや外側へ。楢崎は「キャッチしようと横に飛んだ」という。しかし彼はボールをこぼしてしまう。そこにクローゼが飛び込み、軽くゴールへ押し込んだ。「キャッチではなくパンチングしていれば、また結果は違っていた」と楢崎は残念そうに言うが、このあたりの「老獪さ」が世界屈指の強豪国らしさなのだ。

この直後、日本はCKの流れから藤田がゴール前でフリーになるチャンスを得た。が、ボレーを狙った彼はシュートをミス。「フィニッシュの精度」という課題がまたも浮き彫りにされてしまった。ドイツのシュート力は日本をはるかに上回っていた。日本選手はペナルティエリア内でもシュートをワクに飛ばせないのに、ドイツ人選手たちはペナルティエリアの15m外側くらいから難なくシュートを蹴ってくる。イタリアやイングランドも同様だ。日本の選手たちはシュートへの意識と技術がまだまだ低い。その重い現実を改めて突きつけられた。

ドイツの2点目も「決定力の違い」が出た。日本の不用意な横パスを拾ったシュナイダーがアサモアに展開。さらにバラックへとつないだ。バラックはドリブルでやや前進し、ペナルティエリアの外側から軽々とゴールを奪ったのだ。この時間帯は稲本も福西も前ががりになっていて、バラックをマークしきれなかった。「後半になってバラックが中途半端な位置に来たから捕まえにくくなった。前半はともかく、後半になって研究されてくるとキツイ」と加地も肩を落とすしかなかった。後半の日本の得点チャンスは36分の三都主の左足シュートだけ。これも名手・カーンに阻まれた。ドイツでは「カーンは下り坂」と批判も根強いが、この日を見る限りでは2002年ワールドカップ時のような意欲と鋭さを失っていなかった。

そしてドイツのダメ押し点は後半ロスタイム。これも日本のミスからだった。途中出場の大久保嘉人(C大阪)がドリブル突破を仕掛けたが、相手の1対1の強さにひるみ、ズルズルと下がり出したところでボールを奪われ、カウンターから最終的にクローゼに決められたのだ。1対1の強さはドイツサッカーの伝統だが、21世紀になっても古きよき時代からの遺産は脈々と受け継がれている。

結局、試合は0-3で終了。日本とドイツには点差に匹敵する実力差があった。今回の日本は守備陣が軒並み戦線離脱し、攻撃を組み立てるべき中村俊輔(レッジーナ)ら欧州組もいなかった。シーズン終盤で選手たちの疲労も困憊していた。けれども、それを言い訳にすることはできない。ドイツも長旅を経て日本にやってきたばかりだし、戦力的には1軍半だったのだから。ジーコ監督と選手たちは目の前の結果を真摯に受け止めなければならないだろう。

特に気になったのは「選手層の薄さ」だ。DFの主力が抜けた彼らは急造4バックで戦わなければならなかった。そのくらい「実戦に使えるDF」がいないのだ。FW陣にしても高原、鈴木が満足にシュートも打てず、途中出場の玉田圭司、大久保も1対1に勝てなかった。ジーコ監督はこれまで「決まった選手だけで戦って連携を高める」というチーム作りを推し進めてきたが、果たしてそのやり方は正しかったのか。より多くの選手を試し、1人でも使える選手を多くしておく必要はなかったのか。ドイツへの切符がかかる最終予選を目前にして、チーム強化方針の是非が問われる事態に陥ったといえる。

最終予選スタートまで1ヵ月半しかない。にもかかわらず、次の強化合宿は1月16日から始動するという。初戦・北朝鮮戦まで3週間で十分な準備ができるのか。今年もオマーン戦直前合宿を3週間しか行わず、選手たちのコンディションがあまりに悪かったというミスを冒している。今からでもいい。強化日程と方向性をもう一度見直し、最終予選に向けて十分な準備をしてもらいたい。

●ジーコ監督のコメントへ続く…
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