今年最後の代表戦は0-3でドイツに完敗。レポートは元川悦子さんです。
<INDEX>
1P目 ドイツ戦レポート前半
2P目 ドイツ戦レポート後半
3P目 ジーコ監督コメント
4P目 稲本、高原、遠藤、玉田、藤田、小笠原、大久保選手コメント
5P目 加地、茶野、楢崎選手コメント
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高さ、強さ、うまさ、抜け目のなさ…全ての面でドイツに完敗。
最終予選スタート目前に「選手層の薄さ」を露呈した日本代表
高さ、1対1の強さ、ボール回しの巧みさ、たった1つのミスを逃さない抜け目なさ、シュートレンジの広さ、そして決定力の高さ。ワールドカップ優勝3回のサッカー大国と同出場2回の新興国との「実力差」は想像よりはるかに大きかった。中澤佑二(横浜)、宮本恒靖(G大阪)ら守備陣、中村俊輔(レッジーナ)、小野伸二(フェイエノールト)ら欧州組を欠いた日本は、強豪ドイツに叩きのめされた。ジーコジャパン発足から2年以上が経過し、これからいざ最終予選という時になって「選手層の薄さ」という重大な課題が浮き彫りにされてしまった……。「キリンチャレンジカップ2004」日本代表対ドイツ代表の一戦が、16日20時から横浜国際総合競技場で6万1805人の大観衆を迎えて行われた。前半こそ善戦した日本だが、後半になって2002年ワールドカップのスター・クローゼ(ブレーメン)に2失点。エース・バラック(バイエルン)にもゴールを決められた。残念ながら0-3の大敗を喫した。ジーコ監督も落胆の色を隠せなかった。
かなりの強風に見舞われたこの日の横浜。日中は暖かかったが、夜になって気温も下がり、キックオフ時は11.3度となった。守備の要・中澤は体調不良が治らず、結局チームから離脱。日本代表が3バックで戦える可能性は完全になくなった。ジーコ監督も前日予告した先発をそのままピッチに送り出した。GK楢崎正剛(名古屋)、DF(右から)加地亮(FC東京)、田中誠(磐田)、茶野隆行(市原)、三都主アレサンドロ(浦和)、ボランチ・福西崇史(磐田)、稲本潤一(ウエストブロンビッチ)、2列目・小笠原満男(鹿島)、藤田俊哉(磐田)、FW鈴木隆行(鹿島)、高原直泰(ハンブルガーSV)という顔ぶれだ。
対するドイツのクリンスマン監督は、予想された4-1-3-2ではなく、4-2-1-3システムで挑んできた。GKカーン(バイエルン)、DF(右から)オボモエラ(ビーレフェルト)、メルテザッカー(ハノーファー96)、ウェルンス(ドルトムント)、シュルツ(ブレーメン)、ボランチ・シュナイダー(レバークーゼン)、エルンスト(ブレーメン)、トップ下・バラック、右FWアサモア(シャルケ04)、左FWポドルスキ(1FCケルン)、FWクローゼという布陣である。
立ち上がりのドイツは慎重な試合運びを見せた。やや引き気味に守り、ボールを奪ったら、まずバラックに展開。最終ラインの1人がボランチに上がり、シュナイダーとエルンストが両サイドに出る。そしてバラックが外にボールを出して、分厚い攻撃を仕掛けるという形を取ってきたのだ。以前のドイツは「早いクロスから高さで勝負」という印象が強かったが、クリンスマン監督はビルドアップを意識しながら攻撃を組み立てようという意識が強いようだ。
こうした相手の戦術に対し、日本は精力的な守備で対抗した。前からボールを追い、中盤では2人3人で囲みに行き、ゴール前にカベを作る。茶野がクローゼをマークし、稲本か福西がバラックを見るという形もまずまず機能した。ジーコ監督も「バラックをつぶせば勝ちもあり得る」と選手たちを鼓舞していたという。前半を通じてドイツに作られた決定的チャンスは16分のバラックの2回連続シュートくらい。これは楢崎のスーパーセーブで何とか無失点に終わった。久しぶりに代表戦に出た楢崎の動きは悪くなかった。
攻撃の方は、小笠原が起点になってボールを出し、藤田や加地が積極的に絡んだ。前半28分には加地の鋭いクロスに高原と鈴木がゴール前に飛び込んだ。これは決定的な形だったが、タイミングが合わず、シュートに至らなかった。「タカたちの後ろで俊哉さんが空いていた。そこにボールを出していたらまた結果は違っていたかもしれない」と加地は悔やんだが、この日の彼はこれまでと見違えるほどアグレッシブだった。
前半は0-0で終了。日本はまずまず健闘していた。が、ドイツにとってこの45分間は「軽い足慣らし」に過ぎなかったようだ。
●3失点、試合後半に続く…