各ポジションの選考ポイント
この結果、FWは最終予選・日本ラウンドと同じ平山、大久保、田中達也(浦和)、高松大樹(大分)の4人がメンバー入りした。一方、中盤もサプライズがあった。最終予選でキャプテンを務めた鈴木啓太(浦和)の落選だ。その引き金になったのが、オーバーエージの小野伸二(フェイエノールト)招集である。尊敬する師匠に押し出される形になるとは、鈴木にとって何という皮肉なのだろうか。鈴木は、今野ほど守備が強いわけでも、小野ほど的確にボールをさばけるわけでもない。リベロもできFKという特別な武器を持つ阿部との競争にも破れ、結果的にチームを去ることになってしまった。
山本監督は「小野の使い方は23歳以下の選手の状態による」と言うが、トップ下かボランチのいずれかで彼を使うつもりでいる。小野がトップ下に入る場合は、ボランチの今野と最終ラインにも入れる阿部勇樹(市原)がコンビを組むことになる。小野がボランチに入る場合、パートナーは今野で、トップ下に松井大輔(京都)が入るか、もしくは3トップ気味のようなシステムを取ることになる。全ては小野が8月のドイツ合宿に合流してからになる。
トップ下も大激戦だったが、FWもできて試合の流れを変えられる松井に軍配が上がった。前田遼一(磐田)も複数ポジションをこなせるということで、バックアップメンバー入りし、トップ下のスペシャリスト・山瀬功治(浦和)が落選した。
アウトサイドに関しては、DFもこなす徳永悠平(早稲田大)と攻撃的な石川直宏(FC東京)、そして両サイドをこなす駒野友一(広島)が右サイド、駒野と左のスペシャリスト・森崎浩司(広島)が左サイドという構成だ。これは順当な選考といえるだろう。
最終ラインについては、闘莉王(浦和)、那須大亮(横浜)、茂庭照幸(FC東京)の3人と徳永は順当だったが、菊地直哉(磐田)に関してはビッグサプライズだった。チュニジア戦で非常にいいところを見せたこと、若くポテンシャルがあることなどが、メンバー入りの要因になったと見られる。
GKに関しては、オーバーエージの曽ヶ端準(鹿島)と黒河貴矢(清水)に決まった。曽ヶ端はチュニジア戦で信じられないミスを冒したが、山本監督はこれを大きな問題とは考えなかったようだ。最終予選でゴールマウスを守りきった林卓人(広島)に代わってメンバー入りした黒河は最近の安定感が評価されたようだ。林が予選の後、ケガで実戦から離れていたことも、黒河にとって追い風になったのかもしれない。
彼ら18人の他に、林、北本久仁衛(神戸)、前田、坂田大輔(横浜)の4人がバックアップメンバーに選ばれた。林は本大会もチームに帯同するが、それ以外の3人は7月30日の壮行試合・ベネズエラ戦までしか帯同しない。もし負傷者などが出た場合には、日本から現地入りすることになる。最終登録メンバーが決まった山本ジャパン。チームはいよいよ本大会モードに突入する。
(取材・文/元川悦子)
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