現在年間の利用者数は3万人。1泊3000円足らずで利用できる合宿所として、トップレベルを目指そうと日夜努力を重ねているところだ。その努力のひとつとして、たとえば施設内で焼くパンの種類を2~3種類から10数種類へと増やし、ジャムやハム、ソーセージも施設内で生産して質を高めようとしているという。圧倒的な知名度にぶら下がるのではなく、訪れた人たちに満足してもらうべく努力を続けている。そして今では何もない環境もセールスポイントだと考えるようになったという。
こんなエピソードを聞かせてもらった。大学のサッカー部を受け入れた時の話だ。合宿の中日に午後だけ休みになったとき、学生たちが長谷さんにコンビニに行きたいと相談してきたそうだ。長谷さんは、一番近いコンビニにバスを利用していこうとすると半日かかると答えたという。カメルーン代表が来るまでは、そういう何もない環境に負い目を感じていたという。しかしカメルーンサッカー協会長さんの一言で意識が変わったという。
「会長申し訳ありません。この施設には回りに何もないんです」と謝罪すると「そういうものがなぜ必要なんだ。我々はサッカーをしにきたんだ。自然の中だからきたんですよ」といわれた。そこで、自分たちのマイナスをいつまでも頭に入れるんじゃなくてそれをプラスに考えることの大事さを学んだという。現在ではサッカーに入り浸れる環境を称して「ライオンの穴」もしくは「獅子の穴」と呼んでいるそうだ。
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