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JSP-Portrait-定家亜由子

・・・目の前の寝惚けた風景が、描いている時だけはもう少し、世界が鮮やかに見えたりする。目眩みたいな風景を確固たる確信として見つめていたいのです。

執筆者:松原 洋一

SADAIE AYUKO

定家亜由子
1982年 滋賀県生まれ
2006年 京都市立芸術大学卒業
2008年 京都市立芸術大学大学院修了
最新情報

皮膚感覚を研ぎ澄ませ、又、美しいと思う対象のその表層を、薄く薄く剥がすように描く。感じながら、互いに響き合いながら、美しく世界観を奏でたい。

◇制作の視点(姿勢)

呼吸していて、心臓が鼓動し、血液が巡ること。
自分の足が確かにこの大地に立っていること。
自分が今、生きていること、存在していることをもっと強く感じていたい。目の前の寝惚けた風景が、描いている時だけはもう少し、世界が鮮やかに見えたりする。目眩みたいな風景を確固たる確信として見つめていたいのです。
その欲求は、自分自身は何だろうという探求にも繋がっていて。一万回に一回くらいだけど作業の中で画面に落とした絵の具のしみに、あぁ、これは私の破片なのだと思えるものが形としてはっきりと現れ強く響く瞬間がある。
それは時に優しく、時に苦しいものだったりする。
弱く、小さく、不確かで、満たされない気持ちがカケラとして、寂しさだったり、支配すること、傷つけること、そんな欲しい欲しい欲しい‥の終わりのない欲望だったり、見て見ぬふりをしているのにねぇ、描くうちに垣間見えてしまう。
だけど、それはそれでいいのです。すっと、気持ちが落ち着いて、色は水と共に優しく温かく定着してくれます。描くことは私にとって、私自身と世界への弔いの行為だと思う。100万回の弔いの後、世界と私が美しく、確かに強く在りますように。
◇掲載作品「蝶のいる白昼夢」について

眠たくて、とても不確か。
現実と幻想の狭間からぽっかり雲みたいに浮かんで見えた風景。
葉牡丹と蝶は今、不思議と気持ちに、肌に、しっくりくるモチーフです。

「蝶のいる白昼夢」



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