|
鴻崎正武 |
ガイド:さて、最後になりましたが、異色の日本画家にも触れておきたいと思います。昨年、東京現代美術館の『No Border -「日本画」から/「日本画」へ』が話題になり、日本画を語るうえでも「ノーボーダー」がキーワードになっています。日本画の境界線というものは以前から熱く議論されてきましたが、最近の創り手はそれほどのこだわりはないような印象を受けます。佐藤美術館で個展をしている
鴻崎正武も洋画出身で日本画の画材を使っている注目の作家ですね。年齢的には今回の枠からははずれていますが・・・。
立島:鴻崎君は油画出身といっても以前テンペラはやっていたのだろうから画材の扱いにはおそらく抵抗がなかったはず。最近の日本画の絵具を使った作品は今までより絵具の素材感が際だつことにより作品自体の存在感が増したという印象。様々な生き物をかけ合わせたキマイラみたいなおもしろいモチーフもパワーアップしていてかなり楽しめます。
ガイド:大学の日本画科を出てから立体制作に移行する人もけっこう多いですね。在学中でもそうでしょうけど。
|
市川裕司 |
立島:
市川裕司がそのひとりなのかな。一応日本画らしき素材と和紙は使っていますが・・・。日本画もしくは日本的な印象と今日的な要素の折り合いをどこら辺で決着させるかが課題なんだと思います。コバヤシ画廊の個展は今回で2回目でしたけど作品のディテールの美しさと全体の造形のまとまりが出てきて完成度が増した感じがしました。
ガイド:残念ながらもう時間がなくなってしまいました。今回は1976年以降生まれの日本画家ということで、条件が厳しかったのですが、枠から外れていて印象に残った若手はいますか。
|
及川聡子 |
立島:印象に残ったと言えば、
吉賀あさみと
及川聡子。ただ吉賀は71年生まれ(MA2ギャラリーでの個展)そして及川も70年生まれ(ギャラリー山口での個展)だから今回のテーマからははずれてしまうのでお話し出来ませんが、両展とも本当に興味深い良い展覧会でした!ここで触れることが出来ず残念!
ガイド:も、申し訳ないっ、そのお話はまたの機会ということで・・・。(笑)
今後もオールアバウト日本画では、様々な視点で注目の若手日本画家を紹介していきたいと思います。今回は時間が少なくて、挙げ切れなかった作家もいたし、大学や地域の偏りもあったように思います。次回はもっと徹底的にやりたいですね。本日はお忙しいところありがとうございました。
(2007年12月、京橋のアートスペース羅針盤で収録)