MISE NATSUNOSUKE
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●三瀬夏之介 |
◇制作の視点
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最近、とても気になるキーワードに「同世代」ということがあるんですね。 もちろん制作の根本は個人に還元されてくるわけですし、画材、表現形式、自身の立 ち位置に対する歴史的意識のない作品は美術とは呼べないものだと思うのですが。 歴史を横線だとすると、そこに無数の世代による縦線があるように感じるわけです。 僕たち団塊Jr.の世代と、ひと回り上の憧れ作家たちとの価値観の断絶のようなものって「バブル」が大きな影響をおよぼしている気がするんです。 彼らが焼け野原と呼ぶ場所に僕たちは産み落とされたわけですが、そこが焼け野原だという自覚がない。 ないからつくる、つくりたいからつくるといった自明のこと、それがしやすい時代に生まれたんじゃないかな? だから表現したいものって言われるとそれは、奈良に生まれ、奈良に育ち、この日本にグチャグチャにされた僕のほんまもんのイメージの回復という感じかな。
◇自分の作品について
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作品ですか?僕たちが圧倒的に「うん!そうだよな!」と感じれるものをつくりあげなくてはいけないと思う。そこに言葉はいらないし、けっして形式に媚びない圧倒的なビジョンはけっして目新しいものではなく、僕たちのものでしょう。
◇いま関心のあること
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「日本画」という言葉にはとても興味がありますね。 なぜ学生時代、日本画専攻に所属しているだけで肩身のせまい思いをしたのか。油画、彫刻専攻の友達への劣等感はどこから生まれてきたのか。 「日本画」に変わる新しい言葉を探そうとしたこともありましたが、今は美術の世界だけでなく「日本画」というねじれまで引き受けて描いていきたいという気持ちでいっぱいです。
◇話しておきたいこと
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僕たちの世代ってやっぱり少し冷めたところがあって、単純にガッツポーズできない、自分のことさえも笑ってしまうような所があると思うんです。 ところが表現ってやっぱり真面目なもので、その壁を取り払うので一苦労。格好つけなんでしょうね。 今高校生を教えているのですが、彼らにはこちらがドギマギしてしまうような純粋さがある。それも時代なんでしょうが、けっして彼らの希望を消さないような生き方をしていきたいですね。(真面目すぎだな、はは)
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