生命保険/ライフステージ別の保険選び

老後に備える生命保険はどう考えればいい?

いろいろなライフイベントがほぼ終わった後に迎える老後は、人生最後の、そして、長く続くライフイベントと言えるでしょう。そんな老後に、生命保険でどんな備えをすればいいか考えてみます。

執筆者:小川 千尋

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定年退職後の時間が延びている。

定年退職後の時間が延びている。

いつから老後かは、人それぞれで考え方や感じ方が異なるでしょう。70代でも、まだ老後資金の貯蓄や運用に励んでいる人もいるくらいですから。ここでは、サラリーマンが現役を退く定年を老後のスタートと位置付けることにします。

さて、保険で準備できる老後関連の保障には、死亡、老後資金(年金保険)、医療保障、介護保障があります。それぞれ、どう考えればいいか順に見ていきましょう。
 

老後に死亡保障は必要?

これから老後生活に入ろうという定年前後は、子どもたちはすでに独立していて夫婦二人のことだけを考えればいい時期の家庭が多いはず。子どもたちが独立したということは、子どものための死亡保障は不要になったことを意味しています。ですから、死亡保障として必要な金額は、死亡整理金(お葬式代+お墓代など)程度です。これは、夫婦ともに同じことがいえます。

人の死亡時期は誰にも予測できません。ですから、死亡整理金を保険で準備する場合は、一生涯にわたって保障が続く終身保険が適していることになります。すでに加入している保険の中に終身保険があれば、新たに終身保険に加入することはありません。また、死亡整理金くらいの貯蓄があるなら、必ずしも保険で準備する必要はありません。
 

生活資金作りとして年金保険は利用した方がいい?

老後資金は、公的年金で不足する分を貯蓄か保険で準備するものと考えます。生命保険には、老後資金作りを目的とした年金保険がありますが、基本的には、20年・30年という長期にわたって保険料を積み立てるものです。

しかし、最近は、銀行や証券会社などの金融機関の窓口で、定年退職者向けの保険がたくさん販売されています。ほとんどが外貨で保険料を一時払いするもので、年金保険の他に終身保険や養老保険もあります。

長引く低金利で保険の貯蓄性に期待できない昨今、年金保険に限らず、貯蓄型の保険は加入に適した時期とはいえません。老後資金は、保険以外の金融商品でも積み立てられ、また、運用できるので、保険が唯一の手段でありません。あくまで選択肢の1つとして加入を検討しましょう。
 

老後の医療保障はどうする?

定年間近まで入院経験のない人も、老後は入院する機会が増えるでしょう。やはり、年を重ねるほど、病気やケガが入院に至ることが多くなるとともに、入院日数も長くなりがちだからです。このため、老後の医療保障の必要性は高いといえます。

保険に加入している人の多くは、特約か単体の保険で医療保障を準備しています。定年前後には、医療保障を見直しましょう。ポイントは、以下の3つです。

1. 入院日額は足りなくないか
できれば1日1万円は欲しいもの。でも、5000円でもOKです。

2. 保障期間は終身か
長生きに備えて終身保障が安心。でも、80歳まででもよしとしましょう。

3. 保障内容は納得できるか
短い入院から保障される、手術の保障範囲が広い、先進医療の保障もついているなど、最新の医療事情に対応したタイプが望ましいでしょう。このため、新しいタイプの医療保険をプラスする、または、入り直すことも検討を。

もし、医療保障は準備していない場合は、新たに医療保険に加入するか、医療費は貯蓄で賄うと割り切るかのどちらかです。
 

介護状態への備えは?

老後生活で気になるのは、長生きするほど要介護になる可能性が高くなることです。要介護に備える保険としては、生命保険の介護保険・介護特約があります。

介護に備えるという主旨で考えると、保障期間も給付金の支払い期間も終身であることが望ましいといえます。一度、要介護状態になると、介護が不要な状態に回復することは考えにくいからです。しかし、終身保障の介護保険は保険料が割高で、また、支払い条件も厳しいこともあって積極的に加入をすすめられません。定年前後の人は、保険料を一時払いにして加入する方法もありますが、そこまでして得る必要のある保障かは疑問です。

貯蓄で備えられるものは、保険があったとしても保険に頼る必要はないのです。これは、介護の保障に限らず、老後の死亡保障、生活費、医療保障の全般にいえることです。

※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
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