2.アンドロイドと人間の違いとは?フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
<DATA>タイトル:『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』出版社:早川書房著者:フィリップ・K・ディック価格:756円(税込) |
アシモフの小説では、人間に危害を与えることができないものがロボットと判断された。一方、本書で人間とアンドロイドを見分けるために使われるのは、例えば感情移入度測定検査だ。社会的な状況の例をいくつかあげて、それに対する被験者の反応を見る。熊皮の敷物や闘牛のポスターなど、質問にさりげなく動物の死をあらわすイメージがおりまぜられる。不快に感じると針が動き、そのふれ幅が感情移入度を示す。生き物に対して感情移入度が高いのが人間ということらしい。
ところが、リックはいつしか、アンドロイドに感情移入するようになり、自分の仕事に疑問を抱くようになっていく。
リックの苦悩にも共感をおぼえるが、アンドロイドを匿う孤独な男イジドアが悲しい。彼らの言動を通じて、生きているとはどういうことか、人間とは何か、自分と異なる種を愛せるのか、考えずにはいられない。
もしも、ヒトに代わってマシンが世界を支配したら……。次ページでは人間と機械の共存をテーマにした物語をご紹介。