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東野圭吾『聖女の救済』『ガリレオの苦悩』(2ページ目)

映画「容疑者Xの献身」もヒット中。東野圭吾のガリレオシリーズ最新刊が2冊同時に刊行された。その内容とは?

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド

短編集『ガリレオの苦悩』

ガリレオの苦悩
<DATA>タイトル:『ガリレオの苦悩』出版社:文藝春秋著者:東野圭吾価格:1,600円(税込)
ガリレオシリーズはもともと短編から始まった。『探偵ガリレオ』『予知夢』に続く3冊目の短編集が『ガリレオの苦悩』だ。

内海薫と湯川の出会いを描く「落下(おち)る」、湯川の恩師の家で殺人事件が起こる「操縦(あやつる)」、湯川が草薙に頼まれて旧友が経営するペンションへ行く「密室(とじ)る」、少女がダウジングで強盗殺人事件の手がかりを発見する「指標(しめ)す」、湯川が“悪魔の手”と名乗る無差別殺人犯と対決する「攪乱(みだ)す」の5編を収録。

完全犯罪を目論む人間の動機や、湯川が犯人を追い詰めていく過程を中心に描く長編に対し、短編は物理学者を探偵にしたシリーズならではのトリックが印象に残る。湯川の科学愛も描かれている。

リーダビリティが高いため、2冊を1日で読破することもじゅうぶん可能。上半期も小説で最も売れたのは著者の作品だったが、おそらく下半期も制覇するだろう。

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