Monkey Contemporariesシェリー・ジャクソン「血」
<DATA>タイトル:『季刊 真夜中 No.1 2008 Early Summer』出版社:リトルモア価格:1,260円(税込)同時期に創刊された新雑誌。こちらは文芸だけではなく写真や絵やデザインにも注力している。 |
牛の足跡や蛇口からあふれ、塔に満ちていく赤のイメージは怖いけれども、不思議と美しい。
著者は1963年生まれのアメリカの作家・アーティスト。邦訳単行本はまだない。が、この奇想、また味わってみたいと思わせる。
Monkey Classicsハーマン・メルヴィル「書写人バートルビー ――ウォール街の物語」
語り手は弁護士の「私」。ウォール街で法律事務所を開いているが、使用人は午後になると必ず書類にインクをこぼすターキーをはじめ変わり者ばかり。新しく雇ったバートルビーは無口で落ち着きのある男。すぐにバートルビーを信頼するようになった「私」だったが、実は彼はターキーたちを軽く凌駕するきわめつけの奇人で――。何を頼んでも穏やかにきっぱりと拒絶するバートルビー。繰り返される彼の口癖や、困り果てる「私」の様子を読むと可笑しくてたまらない。自分の職場の困った人を思い出す読者も多いのではないだろうか。
著者は『白鯨』で知られるアメリカの作家。155年前に発表された小説なのに、今読んでもまったく古くない。
朝日新聞のインタビューで、柴田氏は本誌について「いい本がそろった、ちっちゃな書店のような雑誌にしたい」と語っている。海外の本も国内の本も、新しい本も古い本も、同じ空間に並んでいるのが本屋の面白さ。お気に入りの書店に通うように読み続けたい。
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・「柴田元幸 責任編集『モンキービジネスmonkey business』」…ヴィレッジブックス内にある公式サイト。ウェブだけで読めるコンテンツ(柴田氏のエッセイ・新作翻訳・コミック)も充実!
【ガイドの読書日記】
・「石井千湖日録」…最近気になる新刊、積読、読了本など紹介しています。