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コーエン兄弟「ノーカントリー」原作!

アカデミー賞監督&作品賞を受賞した、コーエン兄弟の映画「ノーカントリー」原作、ピューリッツァー賞受賞作家の『血と暴力の国』を紹介!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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「ファーゴ」「オー・ブラザー!」などで知られるコーエン兄弟の映画で2008年に日本でも公開される予定の「ノーカントリー」。その原作が『血と暴力の国』だ。著者は『すべての美しい馬』で全米図書賞、全米書評家賞、最新作の『The Road』(未訳)でピューリッツァー賞を受賞した作家、コーマック・マッカーシー。その内容とは……。

魂のない人間の眼はなんの窓?

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1)
メキシコ国境近くで麻薬密売人の抗争が勃発。銃撃戦の末、現場には死体と莫大な金が残される。現場をたまたま発見したヴェトナム帰還兵のモスはその金を持ちだすが……。
『血と暴力の国』は、アメリカのテキサス州で保安官を務めるエド・トム・ベルのモノローグから始まる。ベルは自分がガス室に送り込んだ少年のことを回想する。ずっと前から人を殺してみたかったし、出られたらまた殺すだろうといった少年のことを。そしてその少年もその後あらわれたやつに比べたらどうってことはなかったと振り返る。

眼は魂の窓だとよく言うだろう。すると魂のない人間の眼はなんの窓なのかおれは知らないしどちらかというと知りたくない気がする。しかしこの世には普通とは違う世界の眺め方があってそんな眺め方をする普通とは違う眼があってこの話はそういうところへ行く。おかげでおれは考えてみたこともなかった場所へ連れていかれた。

ベルと同じく、読者もその場所へ連れていかれる。会話にカギカッコをつけない無駄のないスピード感のある文章と、圧倒的な存在感がある殺人者シュガーによって。

きっかけは、メキシコとの国境で麻薬密売人が殺し合い、240万ドルという大金が残されたこと。

ここで問題。

Q.もし盗んでも警察に届けられない大金(240万ドル!)を見つけたらどうする?

240万ドルの行方をめぐる命がけの鬼ごっこ!

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