■安全保障VSプライバシー保護――20世紀に現代の「ジレンマ」を幻視!? 日本人としては、ちょっと気になるところもあるけれど・・・
もうおわかりのように、本作は、「安全保障VSプライバシー保護」という今日的なテーマを内包している。メールが国家に盗み見られるのは、不愉快だ。でも、テロ対策のために必要だとすれば?だけど、必要ときめた「機関」がたとえば、「国家」は、必ずしも公の利益のみを考えているのか?そもそも「公」とは?
一気に読み終わった後、考えさせられる。このテーマに対する踏み込みは、若干甘い気もしないではないが、この著者のいいところは、ダブルスタンダードの袋小路で徒に足踏みをせずに、ぐいぐいストーリーを前に進めていくところ。だからこそ、ベストセラー作家なのである。それにしても、繰り返すが、本作が書かれたのは、1998年。著者は、テロの脅威への対抗という大義の元の「情報の国家統制」の是非が論議されている現在を幻視していたのか。その想像力やおそるべし、である。
あえて難を挙げるとすれば、「日本」に対するちょっとした下調べ不足かな。だって、この名前、「エンセイくん」って「厭世くん」?訳者のあとがきによると、日本に対する事実誤認は他にもあったそう。そっちもちょっと読んでみたいような・・・
ともかく、文系さんでも、一気読み必至。GWのためにとっておいても、すぐ読んじゃうかも。
この本を買いたい!
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■映画化、っちゅうことで、いわゆる「フィーバー」ですな。『ダ・ヴィンチ・コード』に関する主なページを少しだけご紹介。
うーむ、トム・ハンクスかぁ・・・映画『ダ・ヴィンチ・コード』の情報は、まず「公式ページ」で。
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