『天使の梯子』
直木賞作家となった著者が、10年の月日を経て、デビュー作『天使の卵』の続編に挑む。あの登場人物たちは・・・


『天使の梯子』
・村山由佳(著)
・価格:1470円(税込)

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■デビュー作『天使の卵』から10年。直樹賞受賞後初の長編に選んだのは、「純・恋愛小説」の続編。あの登場人物は、どうなった!?

十代の青年、歩太と年上の女性、春妃の痛いほど切ない恋を描いた『天使の卵』で1993年にデビューした村山由佳。今だったらどうということもないのだが、当時は、高校生と年上女性との肉体関係を含めた恋愛模様は、けっこう、衝撃的だった。

それから、十年。著者は、『BAD KIDS』『海を抱く』など人気作を生み出し、2003年『星々の舟』で直木賞作家となった。家族の相克を描いた受賞作は、重厚ですばらしかった。
だが、デビュー作や『コーヒーの入れ方』シリーズなど、等身大で恋愛を描いた作品が好きだった私にとっては、権威ある賞を獲得したのをきっかけに、著者が「硬派な大御所」になって、「人生とは何ぞや」みたいな上段に構えた作品に移行するような気がして、一抹の寂しさを感じたものだ。

ところが!
直木賞受賞以後、初の長編作は、あのデビュー作の続編だと言う。よかった、彼女が、見方によっては瑣末なことに過ぎない「恋」を見捨てないでいてくれて・・・。
それに、『天使の卵』のあのラストでは、全身全霊を賭けた恋を、存在を、不条理な形で喪ってしまった歩太のその後があまりに気になりすぎる。思いを寄せていた歩太を姉に奪われた夏姫もその後も。

と、勢い込んで、続編である『天使の梯子』を開いて読み始める。ところが、そこには、歩太も、夏姫もしばらく登場しない。その代わり・・・