『ゲームの名は誘拐』東野圭吾 光文社 1600円
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 今回から2回にわけて、今秋公開、あるいは映画化が決定した話題作を紹介する。
まず、弟1回目は、東野圭吾『ゲームの名の誘拐』。『g@me』というタイトルで、2003年11月8日、東宝系で公開になる。

■仕事、恋愛・・・「ゲーム」に勝ち続けてきた「嫌味ほどいい男」主人公

 映画の出演は、藤木直人、仲間由紀恵。
とても、美的なカップルである。スクリーンでは、さぞや映えることだろう。

 原作の設定によると、藤木直人が演じる佐久間は、広告代理店のプランナー。そう、一昔前風に言うなら、ギョウカイ人である。愛車は、オープンカーのMR-S。ひまがあれば、ジムで体を鍛え、ベッドでも、美女と汗を流す。もちろん、独身。どんな美女でも、結婚をちらつかされたら、即、バイバイ。代替は、常にキープしてある。

 いやはや、バブル期なら、ともかく、この不況時に、このキャラ設定。ある意味、共感はものすごく薄い。だが、というか、もちろん、というべきだろうか、読ませ巧者の著者のこと、実は、この「共感できなさ」が、この主人公の人物造形のキモである。

 対する仲間由紀恵が演じる樹理は、大手自動車会社・日星自動車の経営者一族のご令嬢。父親が、同社の副社長である。こちらも、一見、かなりゴージャスで共感の薄いキャラクター設定。
 このお二人がもし通常の出逢いをして、恋に墜ちるなら、あまりにも陳腐。だが、もちろん、そんなわけはない。

■屈辱を味わさされた男に誘拐ゲームを挑む佐久間。ゲームの協力者は、男の娘

 広告代理店のプランナーである佐久間は、日星自動車の新車プロモーションについて、あるプランを出している。もちろん、自信は満々だ。ところが、新しく副社長に就任した葛城勝俊が、佐久間のプランを完全に否定する。佐久間が受けたショックは小さからぬショックを受ける。しかも、ミーティングの場で、葛城が言った一言が、佐久間の胸にグサリと突き刺さるのだ
「これは、あくまで商売という名のゲームだ。私は、ゲームには些かの自信がある」――

 受験も、就職も、仕事も、恋愛も、すべてをゲームだと任じ、それなりに「達人」を任じていた佐久間。そのゲームという土壌において、闘わずして敗者だと宣言された佐久間は、屈辱感と闘志に燃える。

 この男に、ゲームを仕掛けて、勝ってやる・・・

 ひょんなことから、家出中の葛城の娘、樹理とであった佐久間。
自分が愛人の娘だといい、父母、異母妹に強く反発している樹理。
金目のものを盗って家を出てくればよかった、と嘯く彼女に、佐久間は、こう言う

「君の望みをかなえるゲームをやってみないか」――
 葛城勝俊から三億円を奪う誘拐というゲーム。すべての条件を綿密な計画を立てる佐久間。計画は、成功したかに見えたが・・・。