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新シリーズ「ミステリーランド」の魅力<1> 『くらのかみ』ほ(2ページ目)

小野不由美、島田荘司、殊能将之という豪華執筆陣をひっさげて刊行、講談社のジュビナイル・シリーズ「ミステリーランド」。子どもにだけ独占させておくわけにはいかないその魅力を2回シリーズで紹介。

執筆者:梅村 千恵

■怪盗なし、探偵団なし、勧善懲悪なし、予定調和なし。子どもの鋭い視線を受け止める作品群

 このように、三作それぞれに異なった魅力を持っているのだが、主人公が少年であること以外にも、大きな共通項が一つある。
 
 それは、子どもを「ナメていない」ことである。

 三作とも、主人公こそ、「少年」だが、現実離れした「怪盗」も、正義の味方の「探偵団」も登場しない。子どもの目線が捉えた不可解や、不条理を核に、さまざまな不確定要素を取り込みながら、物語は、予期せぬ結末へと収斂してく。

 そう、まるで、「子どもは、大人が思っている以上に、ものが見えている」という書き手たちの意志が伝わってくるようだ。

 そうだよね、私も、親の手前、子どものフリ、してやっていたもの・・・。
この三作を読みながら、「大人の本」を読んでいる時が一番素の自分でいられた自分の「少女時代」を強烈に思い出した。

 さて、同シリーズ、執筆陣や作品の内容以外にも、本好きをレジに直行させるに足る重要な要素を有している、そのあたりを次回の記事でご紹介したい。
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