落語から日本の社会構造が見える!
落語の国からのぞいてみれば (講談社現代新書 1947):落語の奥深さと幅を広さを証明した、まったく新しいタイプの落語関連本 |
内容は落語の紹介ということにとどまらず、落語を通して日本文化や社会構造を解説しながら、現代日本社会の問題点にグサりとメスを入れていきます。日本の社会学本として十分読み応えがあります。
また、自称調べるフリーライターだけあって、本書の作成に当たって、膨大な資料分析があったようです。特に巻末の参考とした文献書の解説や、本書に登場した落語の解説+その落語が聴けるCDの紹介文は充実の一言。これで一冊、本ができそうなくらいです。
その膨大な資料に裏打ちされたデータに、堀井憲一郎の文章・構成力が加わっているので、納得と面白さが絶妙にミックスされてます。まさに、楽しく読んで、なおかつ知識が増える、新書の理想形ともいえる本です。
芸術的な落語家の豪華写真集!
高座―橘蓮二写真集 (大型本):芸人の写真が芸術の域まで達してます。 |
橘蓮二が撮る芸人達の写真は、息遣いが聞こえてきそうなほどリアル。我々が見ることのできる芸人たちの舞台での真剣な姿から、滅多に見ることのできない舞台袖や楽屋での様子など、様々な角度から生の芸人を写真で見せてくれます。
しかし、この写真集「高座」の値段を聞いて(¥5,670)いくら落語ブームとはいえ、落語家を中心とした芸人達の高座の大型版写真集(それも高額)なんて...売れるの? と正直、思いました。しかし、ページをめくるたびにその懸念は吹き飛びました。
今回、本書に登場する芸人達は立川談志、柳家小三治をなどの落語界を代表する噺家や柳家喬太郎、立川談春といった今を時めく人気噺家だけでなく、寄席を中心に活躍する鏡味仙三郎(太神楽)、ぺぺ桜井(ギター漫談)、アサダ二世(マジック)等の色物さんも含まれています。
彼らの過去ではない、今のリアルな姿を華々しく、そして、なぜか切なく、胸に迫るような圧倒的な存在感を大型版の写真集という形で見せてくれます。
生の高座さえ凌駕するほどに、芸人達の息遣いと芸が迫って来ます。芸人の写真が芸術の粋まで達することを証明した、橘蓮二の集大成ともいえる一冊をぜひ、ご覧あれ(ちょっと高いけど)。
今回、紹介させてもらった書籍は、ある意味落語という枠を超えたものばかりです。ココ最近の落語関連本の傾向として、落語をキーワードとして様々な幅広いジャンルの本が発刊されています。
それも、どの書籍も売れ行きが好調。それだけ、落語という芸能が奥深いということ同時に落語が再び、日本のポピュラーな芸能であるといことが認識されようになったということかな? そのうち、その年のベストセラーに落語本が登場する日が近いかもしれません。