【目次】
講談とは? 意味や定義
講談は講談師(もしくは講釈師)と呼ばれる人が演じます。演じるネタは軍記物(太平記、真田軍記など)や政談(大岡裁きなど)や、有名な事件等の歴史物語です。つまり、講談は歴史ものを中心とした物語を興味深く聴衆に聞かせる朗読劇のようなものです。
それゆえ、落語の演目が「出し物」と呼ばれるのに対して、講談は「読み物」と呼ばれます。
講談の歴史
講談の基になったのは、戦国時代の御伽衆だといわれています。御伽衆とは、戦国大名の相談相手であると同時に、長い戦いで疲れた大名を癒すための話相手としての役割もありました。長期間の戦に飽きた大名を退屈させないないよう、自然と物語に脚色を加え、面白い語り口なっていたはずです。例えば、某国の戦いはどうだったとか、某国の大名はこういった珍しい政策をとっているとか、現在の時代小説や大河ドラマの口伝版といったところでしょうか? それゆえ、ネタの主体は戦(いくさ)に注釈をつけて語る軍記ものでした。
それが、平和な江戸時代に入り、大道芸の一種として、街中の辻(角)で演じられるようになり、その芸風は辻講釈と呼ばれていました。この辻講釈は庶民の間で人気を博し、常設の小屋で開催されるようになり「講釈」とい芸能ジャンルが確立されました。それゆえ、この辻講釈が現在の講談の原型とされています。
明治に入ると、軍記ものだけでなく歌舞伎や芝居のネタも演じるようになったので、講釈(注釈をつけて物語を語る)から講談(様々な物語を語る)と呼ばれるになり、現在のものとなりました。
落語と講談の違いとは?
落語の上下を切る(左右を見る)ことが少なく、講談はほとんど正面を向いて語ります。これが落語を演じ方との最も大きな違いでしょう。写真は神田蘭 |
講談は一見、まくし立てるかのようにネタを語りますが、これはただ黙々と語るのでは聴衆が飽きてしまうからです。また、早口のような語りにも講談独特のテンポとリズムが、心地よく聴衆を物語に引き込んでいきます。
落語が話の「間」を重要視するのと対照的に、講談はしゃべりの「調子」と呼ばれるリズムを大切にします。また落語には話しにオチがつきますが、講談は特にこれといったオチがつきません。
釈台(しゃくだい)とハリセン
講談師の前に必ず、置かれるのがこの釈台。上方の落語家も同じようなものを置きますが、落語の場合、見台(けんだい)と呼ばれます |
ハリセンはパパパッパンパンパンと小気味よく釈台を叩いて、話のリズムをとります。また、話の山場では何度もたたき上げ、効果音としての作用も発揮しますし、大きく一つパンッと叩いて、話の舞台転換を知らせたりします。また、落語家にとっての扇子のように万能小道具としても使用します。
講談で歴史の勉強! 日本史を学ぶきっかけに
講談ネタのほとんどが、、軍記物や政談等の歴史物ですので、講談を聞いているうちに自ずと歴史に詳しくなります。忠臣蔵で有名な「赤穂義士伝」、テレビドラマ水戸黄門でおなじみ「黄門漫遊記」、「真田軍記」、「太閤一代記」、「柳生三代」等は映画やテレビ等でおなじみの内容はすべて講談ネタです。講談を聴いているうちに日本の歴史(戦国~江戸時代)通になっているはず。とはいっても、講談ネタは面白おかしく聴かせるためにかなり脚色されているので、すべて真に受けてはいけませんので、その辺はご了承ください(笑)。しかし、日本の歴史に興味を持つキッカケになることは間違いありません。
女性が大活躍する講談界とは
現在、プロの講談師として活躍する女性の割合は50%で、特に若手の講談師のほとんが女性です。落語家の女性の割合が5%にも満たないとの対照的に講談界は女性の進出が目立ちます。それは、なぜか?と問われれば、明確な理由はありませんが、個人的な見解として、一つに講談の芸風にあるかと思います。落語は登場人物になりきる、アクターとして演じることが重要視されます。特に古典落語の演目に登場する人物は男性が多く、また女性の登場人物も男性目線からみた女性ゆえ、女性が演じるには男性よりハードルが高いように思われます。
その点、講談はあくまでも第三者として話を進めるストリーテーラーに重きを置きますので、演じる側にとっては、そこに男女のやりやすさの差はあまり存在しないのかもしれません。
とはいっても、これだけ、女流講談師が珍しいどころか、多いことの最大の理由は現在活躍されている女性講談師達の芸の確かさがファンに受け入れられているからです。そこに至るには、彼女達の並々ならぬ努力があったことでしょう。
落語と並ぶ、大衆芸能の雄、講談を知れば、もっと寄席や大衆演芸をより楽しめるはずですので、ぜひ講談にも注目してみてください。
次回は、今年二つ目に昇進を果たした、期待の若手女流講談師「神田蘭」さんのインタビュー記事を紹介しますのでお楽しみに!
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