落語ガイドの独断と偏見による新四天王
ちょっと前(かなりか?)落語界の(若手)四天王といえば古今亭志ん朝、立川談志、三遊亭円楽、春風亭柳朝(亡き後は月の家圓鏡)でした。当時はテレビやラジオで落語家達を見ない日がないというくらの空前の演芸ブームでした。当時のブームには及ばないとしても現在も第何期かの落語ブームですので、現在も当時と似たような存在の四人の噺家がいます。今回はこの落語ブームを引っ張り、今後の落語界を担うであろう新四天王と、私が個人的に推す特殊な噺家を紹介します。この五人を追っかければ落語界の未来が見えます。
柳家喬太郎:キョンキョンこと落語界の両刀使い
この人の新作落語は現代を巧みに、そしてシニカルに切り取る。CDにも厳選された喬太郎ワールドがたっぷり詰まってます。 |
普通、新作派か古典派のどちらかに偏りがちですが、この人は両方こなします。そして、どちらを演じても質が高いという稀有な噺家です。
この人の高座は客を自分の喬太郎ワールドに引き込んでいくスタイルなので、一度ハマッたら新作だろうが古典だろうが、フリートークでもいいから、この人の噺が聴きたくなります。つまり喬太郎噺に夢中にさせる。ゆえに現在、もっともリピーター率の高い噺家の一人であります(とくに女性の追っかけが多数)。
一度、喬太郎ワールドを体験してみてください。ハマルこと請け合いです。
三遊亭白鳥:天才か? ただの変人か? 100年に一人の逸材
落語の概念さえぶっ飛ばす笑いの天才。見た目、このとうりです。 |
師匠が新作落語の帝王・三遊亭円丈ゆえ、突拍子もない新作落語を演じるのは理解できるのですが、この人の落語は我々が知っている落語の概念をぶっ飛ばしています。
以前、テレビの笑点さえほとんど見たこのない超落語初心者の女性に白鳥の高座を見せたら「私、落語って初めて見たけど、これはなんか違う気がする」って言うくらい、通常の落語とは逸脱してます。着物を着て座布団に座って演じることくらいしか通常の落語と共通点がない(演目によってはその座布団でさえひっくり返してこね回す)。
落語というジャンルを超えて、この人の笑いの才能とセンスは天下一品。天才です。ただ、彼はその才能とセンスを披露するために落語というジャンルを選択したようです。
しかし、現在のテレビメディア主導のお笑いでは限られた短い時間内にどれだけ笑わす(笑いじゃなくて脅かしね)ことが、求められているようで、落語とういうじっくり聴かせ、想像させてから笑わせるという時間のかかるスタイルは不向きのようです。
ゆえに落語を選んだ白鳥の笑いの才能やセンスをメディアでは伝えてくれない(伝えきれない)ことが至極残念です。
平成の新爆笑王・三遊亭白鳥を味合うには落語会や寄席に行くしかありません。今が旬の「生・白鳥」をご覧ください。
【関連リンク】
三遊亭白鳥
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