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2007年度、この噺家達を聴こう!ベテラン編

現在、東京で約400人、上方で約200人以上の噺家がいます。長い落語史上、最高の人数だそうです。その数いる噺家の中で、ぜひ聴いてほしいオススメの噺家を紹介します。今回はベテラン編です。

執筆者:清水 篤司

桂米朝がいなければ、たぶん上方落語はとっくに漫才に飲み込まれていたでしょう。生でなかなか味合うことができない人間国宝の芸を聴くべし
ここ最近の落語ブームの影響で、近年稀に見る数の落語会が開催されてます。当然、仕事の数も増えるので食えなくて辞めていく噺家も減り、入門希望者も増え、噺家に定年なんてものはなく生涯現役で活動できるので、その人数は増える一方です。

現在では東京で約400人、上方(関西)で約200、その他諸々を含めて600人以上! 落語史上最大数の噺家がいるそうです。

これだけ噺家がいると、どの噺家の落語を聴けばいいのか? かなり迷われるかもしれません。そこで、ガイドの私がオススメする、聴いておいて間違いない、必聴のベテラン噺家達を紹介します。落語会や寄席に行く際に参考にしてみてください。

落語界の2大巨頭:立川談志と柳家小三治

もし、この2人の高座を見る機会があるならば、必ず聴きましょう(すべての予定をキャンセルしてでも聴くべし)。

古今亭志ん生、桂文楽(八代目)、三遊亭円生、かなり年配の落語通の方はこの3人の生の高座を聴いたことがあるということをかなり自慢します。私の年代(30~40代)だと古今亭志ん朝と柳家小さん(五代目)、上方だと桂枝雀(私はこの人の生の高座を見れなかった)の高座ですかね。

落語ファンにとっての最大の自慢は名人上手と呼ばれた噺家の落語をどれだけ聴けたかです。そんな聴いとけば後々、必ず自慢できる噺家の代表格が立川談志と柳家小三治です。

■昭和が生んだ天才芸人・立川談志
立川談志の稀有なところはファンがいつでも談志落語を楽しめるように自分の芸を各年代ごとに音や映像として、残しているところです。個人的は『ひとり会落語CD全集(5)』がオススメです。
立川談志は落語とういジャンルを超えた昭和の芸能史に残る芸人です。ビートたけし、爆笑問題などの辛口に時代を切る芸風は談志の影響というより、マネです。とくに最近の爆笑問題の太田光の活動は若き日の談志そのものだと指摘する往年の談志ファンもいます。

落語に関しても自他共に認める天才。芸能関係だけでなくあらゆる各界に談志ファンというより彼に傾倒しきっているマニアが多数います。反面、彼の独自性を毛嫌いする人も多数。これほど、好き嫌いが分かれる噺家は後にも先にも立川談志だけでしょう。

立川談志の高座は体の震えが止まらないほどスゴイものもあれば、正直「あれれれ?」(期待ハズレ)というものもあります。それは立川談志がいまだに各演目の「新しい何か」「更なる高み」を高座で模索しているからのようです。

これだけの存在になれば、いつもどうりの得意ネタだけを披露していれば、お客は十分満足するのに、それをあえてしない、いつも何かに挑戦している。

だから談志の高座はいつも何かを期待させ、刺激的なんですね。これが立川談志にハマッちゃう最大の理由かもしれません。

現代のお笑いにも多大な影響を与え続ける天才を見れるうちに生で鑑賞しておきましょう。

■名門柳家の最高峰・柳家小三治
好きな演目を一枚づつ購入するのではなく、思い切って「大人買い」のセット購入してみは? 柳家小三治CD集なら損はしませんよ
純粋に東京における噺家として柳家小三治は孤高の存在です。現役の噺家としての力量はほぼ最高峰でしょう。

一時の高座や演目によっては彼を越える噺家はいると思いますが、総合的な実力をみれば、独走の感があります。そのくらいこの人の古典落語は一種の高みにあると個人的に考えます。家元だという立場を踏まえて、談志は比肩の対象にしてません。彼は現役の噺家という枠を超えているので

柳家小三治は精力的に独演会の開催や寄席で主任(トリ)をとっているのでまだまだ生の高座を聴く機会はたっぷりあります。今のうちにガンガン聴いておきましょう。

人間国宝・桂米朝も加えたいところですが、近頃体調が思わしくなく生の米朝の高座を聴く機会がほとんどないようなので外させていただきました。

この3人の生の高座を見る機会があれば、必ずご覧下さい。生涯ずっと自慢できます。

次ページでは今、もっとも脂の乗っている2人の噺家を紹介します。
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