皮肉たっぷりなブラックユーモアは一度見るととことんはまってしまいます |
『空飛ぶモンティ・パイソン』
英国コメディの代表作といえば、やはり『空飛ぶモンティ・パイソン』(1969-1974)でしょう。BBC放送が若手コメディ作家を集め「深夜枠を与えるから好きなように番組を制作しろ」と命令したことにより、このドラマは生まれました。
5人の放送作家兼俳優のうち、3人がケンブリッジ大卒で2人がオックスフォード大卒。もう一人は放送作家ではなく、アニメーションを担当していた唯一のアメリカ人テリー・ギリアムです。彼は現在監督して活動をしているので知っている人も多いのではないでしょうか。2001年に独特なNIKEのコマーシャルを手掛けたことでも有名ですよね。
英国を代表する有名大学出身者ばかりですが、その中でも1985年に病死したグレアム・チャップマンは医師免許を、ジョン・クリーズも弁護士免許を取得しているなど、エリート中のエリートなのです。
30分もののコメディですが、視覚的に笑える単純明快な笑いと、言葉を使ったシニカルな笑いが絶妙なバランスで組み合わさっており、どのエピソードをとってもクオリティーが高く手抜きが全く見られません。
また、5人のメンバーが考えたコントをアニーメーションで繋ぎ合わせて、ストーリーを展開させるという独特のスタイルも大いにうけました。
ドラマだけでなく、映画も手掛け活発に活動をしていましたが。1983年の映画『人生狂騒曲』を最後に活動は停止状態に。現在は、それぞれが個別に活躍しています。
相棒のクマのぬいぐるみも人気をよんだ『Mr.ビーン』 |
『Mr.ビーン』
日本でもファンの多い『Mr.ビーン』(1989-1995)の主人公Mr.ビーンを演じているローワン・アトキンソンも、オックスフォード大学卒の秀才です。トニー・ブレア首相と同じ高校に通っていたことでも有名ですよね。映画も大ヒットした『Mr.ビーン』は、主人公が殆ど話すことがなく、視覚的な笑いを中心に物語が展開するというもの。
大げさなアクションばかりが注目されがちですが、ストーリー構成も見事なもので、シュールな笑いもふんだんに散りばめられています。
辣な切り口のドキュメンタリータッチで描くイギリスで社会現象となったコメディドラマ『The Office』 |
『The Office』
60ヶ国以上で放送され、現在アメリカで放送されているリメイク版も大ヒットしている『The Office』(2001-2003)。イギリスのコメディドラマとして初めてゴールデン・グローブ賞を受賞した作品でもあります。ドラマの舞台は、郊外にある閉鎖寸前の製紙会社支店。特別な人物も居なければ、特別なことも起こらないのがこのドラマの特徴で、ごくごく普通の会社員たちの日常をドキュメンタリー・タッチで描いたものです。
会社勤めの人間でなくても、ドラマを見て「あるある!」「こんな人いる!」と共感できることでしょう。それどころか、「いらいら」したり「はらはら」してしまうのもこのドラマの特徴です。ドキュメンタリータッチで描かれているため、役者が意識してカメラ目線になったりするのも憎い演出の一つ。見ているうちに、だんだん自分もドラマの中に入ったような錯覚に陥ってしまうのです。
トム・ベイカーによる独特のナレーションが魅力でもある『LITTLE BRITAIN』 |
『LITTLE BRITAIN』
現在、英国で一番人気のあるコメディドラマは『LITTLE BRITAIN』(2003~)。昨年のBritish Comedy Awardsで作品賞など3部門を受賞したブラック系コメディドラマです。スキンヘッドのマット・ルーカスと191センチと長身のデヴィッド・ウォリアムスが、様々な役を演じる30分ものの番組で『空飛ぶモンティ・パイソン』同様、ショートコントをつなぎあわせたものとなっています。
実は、この『LITTLE BRITAIN』、ゲイや障害者なども笑いのネタにしており、ブラックユーモアとはいえかなりきわどい作品です。実際に、放送直前に手直しをしたり、放送がキャンセルされたシーンもあるくらいなのです。
辛口な大人向けのコメディドラマと言えるでしょう。ただし、ブラック・ユーモアに免疫のない人には辛いかもしれません。
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