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『懐かしの庭』イム・サンス監督(3ページ目)

チ・ジニ主演の映画『懐かしの庭』が、シネマコリア2007で日本初公開となりました。社会の暗部に鋭くメスを入れることで知られるイム・サンス監督に、単独インタビュー!

執筆者:桑畑 優香

時代の空白を埋める作業

ガイド:
韓国では昨年の『夏物語』、現在公開中の『華麗なる休暇』と軍事政権時代を描いた作品が続いています。1つの流れともいえるのでしょうか。

イム・サンス:
残念ながらその2作品は見てはいないのですが、どんな内容かは知っています。映画や小説、演劇といった芸術作品は、社会や歴史とともに互いに影響を与えながら作られていくものです。しかし、軍事政権下の韓国では検閲の問題があり、自由に作品を作ることができませんでした。芸術に空白期間があったのです。いま、少し遅くなりましたが、その空白を埋めなくてはならないと監督たちが思っているのではないでしょうか。

ガイド:
日本の観客たちに、この映画を通じて伝えたいメッセージとは。

イム・サンス:
『懐かしの庭』は、韓国の政治や歴史を知らなければ理解できない作品だとは、私は思っていません。ラブストーリー、権力によってかなわぬ悲しい恋の物語と見ることもできます。いろいろな形で楽しむことができると思います。
ただ、今回来日しながら考えていたことが1つあります。韓国の現代史は日本の歴史と密接な関係があります。未来においても切り離すことができません。そんな中で、イケメンスターだけが媒介とした日韓関係は、ちょっともったいないかな、と。もう少し真摯な面でも日韓関係が発展することを望んでいます。

映画『懐かしの庭』

チ・ジニの演技が光る『懐かしの庭』
学生時代、光州民主化運動に参加したかどで収監されていたオ・ヒョヌが、17年ぶりに刑務所を出る。逃亡生活中、彼をかくまってくれた女性半・ユニは、既に亡くなっていた。何もかも変わってしまった韓国社会。ヒョヌは自らの失われた青春の軌跡をたどる。民主化運動のリーダーであり、訪北したため獄中生活を送った経験を持つ人気作家、ファン・ソギョンの同名小説を映画化した作品。
2007年/112分

イム・サンス監督プロフィール

1962年生まれ。延世大学社会学科、韓国映画アカデミー卒。1998年、『ディナーの後に』で監督デビュー。その後も不良少年・少女を描いた『ティアーズ』(2001)、家族崩壊の悲劇を皮肉たっぷりに描いた『浮気な家族』(2003)、パク・チョンヒ大統領射殺事件を題材にした『朴大統領暗殺(原題)(2005)を発表。スキャンダラスな題材が多いが、その社会を見る冷静な眼と知性を感じさせる作風は内外で高く評価されている。『懐かしの庭』は、第5作目。次回作として、フランス資本によるパリ・ロケ作品『パリのとある女』を準備中。

シネマコリア2007


■シネマコリア大阪会場
9月1日(土)
16:05『青燕(あおつばめ)』
18:40『懐かしの庭』
9月2日(日)
16:05『ホリデイ』
18:25『ラジオ・スター』
■ チケット
 前売券は整理番号付き日時指定チケットです【前売券優先】 各作品 \1,400均一(前売・当日とも)
 前売りは、8月13日(月)より8月31日(金)まで、全国のチケットぴあ(TEL 0570-02-9999 Pコード:553-109)、@ぴあ電子チケットぴあ(http://t.pia.co.jp/)、ファミリーマート、サンクスにて発売。
 当日券の販売は、両日とも1回目上映作品の開場1時間前より開始いたします。
 前売券完売の場合は当日券の販売はございません。あらかじめご了承ください。
■ 会場
第七藝術劇場
大阪府大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティビル6F
阪急「十三」駅西口より徒歩3分
■ お問い合わせ
第七藝術劇場 TEL 06-6302-2073

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