「冬のソナタ」の舞台にもなった江原道。その江原道にある素朴な炭鉱の町に赴任した中学校の音楽教師を主人公にした心温まる物語、「春が来れば」が2006年春、公開されます。「オールド・ボーイ」や「シュリ」に出演した名優チェ・ミンシクが主役のヒョヌを演じる、「ダメ男」の夢と再生の物語。また、美しい映像の中にちりばめられた小さなエピソードには、韓国の地方の生活や40代の男性たちが抱える問題などがていねいに描かれ、どこかなつかしく胸に迫る物語です。
 リュ・ジャンハ監督は、この作品が長編デビュー作。「四月の雪」のホ・ジノ監督の助監督を長く務めたリュ・ジャンハ監督に単独インタビューし、作品に込められた思いや、撮影のエピソードを聞きました。

一本のドキュメンタリーから生まれた映画

「ホ・ジノ監督の影響を受けた」というリュ・ジャンハ監督。映像の美しさも格別だ。
—この作品は実話を元にしたそうですね。
「構想はホ・ジノ監督の『春の日は過ぎ行く』が終わった頃から温めていました。『春の日は過ぎ行く』は別れをテーマにした映画だったため、再会を描く映画を作りたいと思っていました。その時にドキュメンタリーを見たのです。吹奏楽部の先生のドキュメンタリーでした。江原道のトゲという町にある中学校に通う炭鉱で働く人たちの子供が、吹奏楽部を作って優勝する過程を撮ったものです。そのドキュメンタリーに登場した先生に興味を持ちました。取材をしてみたら、オーケストラでバイオリンを弾くことを夢見ていたけれど指を怪我してしまい、先生になったと。その先生を主人公に映画を作ってみたくなったのです。1年間近く取材をし、実際に先生がやっていたことを映画の中でエピソードとして使いました。この先生が学校を去ったとき、どんな人が吹奏楽部にやってくるか…と想像して生まれたのが、主人公のヒョヌというキャラクターです」

—そのドキュメンタリーの中で特に惹かれた点は?
「音楽をテーマにしているところです。音楽は、先生の夢ですよね。夢というものを、音楽に絡めたら、よい映画ができそうな気がしたのです。庶民的な話として、中学校の吹奏楽部、失敗した男、その男が愛した女……そういったものがストーリーとして心に浮かんできたのです。挫折や再会を描きたいと漠然と思っていたのですが、ドキュメンタリーを見て『これだ!』とぴんと来たのです」

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