夫が死亡すると、いくら支出が減る?
あまり考えたことも、ましてや真剣に考えたこともないでしょうけれど、夫が死亡した後の家計収支はどう変わるのか、クールにチェックしてみましょう。夫は会社員で妻は専業主婦、子どもは1人、マイホームに住んでいる家庭という設定で話を進めます。あくまでザックリしたイメージとしてとらえてくださいね。まず、夫が死亡すると、団体信用生命保険から住宅ローンの残債と同額の保険金が支払われて相殺されるので、住宅ローンの返済が不要になります。次に、夫のおこづかいも不要に。その他、夫の飲食・衣料・医療・散髪代など細々としたお金もかからなくなります。仮に、住宅ローンは7万円、おこづかいは3万円、その他は2万円とすると、毎月の支出は12万円減る計算になります。
また、ひとり親家庭は子どもが18歳になった年度末(一定の障害がある場合は20歳未満)まで母子ともに医療費は無料、または、軽減される「ひとり親家庭医療費助成制度」があるので、具体的な金額には置き換えられませんが、+αの支出を抑えられることになります。それに、2019年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」では、ひとり親家庭は副食費(月5000円)の負担がなくなるなどの優遇措置もあり、保育園代も月2000~3000円程度で済むケースが増えています。
ここまでの話を整理すると、夫の死亡は月12万円+αの支出減の経済効果があると言えます。
夫が死亡すると収入はいくらになる?
一方、夫が死亡すると、給料という定収入がなくなります。その代わりに、国(具体的には公的年金制度)から遺族年金がもらえるようになります。遺族年金の額は夫の生前の給料や子どもの人数などの条件で異なりますが、この家庭の場合は月13万円と見積もってみます。これに、前段で触れた「夫が死亡することで減る支出」を収入と考えると、どうなるでしょうか。25万円+α(13万円+12万円+α)の収入があると考えられます(児童手当は考慮していません)。最近は、共働きの夫婦が多いですし、今は専業主婦でも夫が亡くなったら働き出すでしょうから、妻の手取り収入をプラスすると、とりあえず生活していけそうです。
「そしたら、そもそも生命保険の保障はいらないじゃない!」という声が聞こえてきそうですが、実はそうではないんですね。遺族年金と妻の収入で毎月の生活は何とかなったとしても、子どもの教育資金や、想定外の諸々の支出に備える貯蓄、妻の老後資金を貯める余裕はないはず。なので、やっぱり、生命保険の保障は必要なんです。ただ、夫が死んで保険金をもらった方がいい生活ができるような保障額にしてはいけませんけど。
さて、夫が亡くなると、実際にどれくらいのお金がかからなくなるかは、人別(夫・妻・長男・長女などの家族別)・費目別で家計簿をつけるようにすると見えてきますよ。
※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
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