おたふく風邪って、どんな病気?
Q:うちの子供のあごが突然腫れて、痛がります。触ってみると熱もあるようです。知り合いのお母さんに聞くと、「おたふく風邪じゃないの?」と言われましたが、おたふく風邪って耳の下が腫れるんじゃないでしょうか?また、もしおたふく風邪だとしたら、家でどのような手当てをすればいいのでしょうか?教えてください…。
A:お答えします。おたふく風邪(流行性耳下腺炎)とはムンプスウイルスというウイルスによって起こる病気です。おたふく風邪にかかった子供の咳やくしゃみで飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。直接触ることで感染することもあります。
感染してから発症するまでの期間を潜伏期といいますが、おたふく風邪の場合およそ2~3週間程度。なお、おたふく風邪にかかっても3~4割の子供が症状が出ずに済んでしまいます(「不顕性感染」といいます)。
症状は?
潜伏期が過ぎると、発熱すると同時に耳の下が腫れてきます。耳の下は片方だけ腫れることも、左右両側が腫れることもあります。腫れるのは耳下腺という唾液腺(唾液を作るところ)ですが、顎の下にある顎下腺も唾液腺ですから、顎の下が腫れることもあるのです。口を開けたりものを食べて唾液が出たりすると腫れたところが痛むので、食欲が無くなります。熱も出るので、水分が摂れないと脱水状態になることも。熱も腫れも3日から1週間ほど続いた後、治ります。
治療法は?
上記のようにおたふく風邪の原因はムンプスウイルスですが、ムンプスウイルスを退治する薬はありません。自然に治るのを待つことになります。痛みがひどいときや熱で体力を消耗したりするときには症状を抑える薬を使うことがあります。腫れた部分を冷やしたりすることもあります。家庭でのケアのポイント
安静にして水分補給を |
熱のある間は入浴を避け、体力を使わせないように。もちろん幼稚園・学校には行けません。腫れが引くまでは休ませます。
合併症・注意点は?
おたふく風邪の合併症で有名なものに、無菌性髄膜炎があります。数%ぐらいで起こることがありますので「頭が痛い」と言ったり、何度も吐いたりといった症状があるときは、病院へ行きましょう。ただし後遺症が残ったり、命に関わるようなことはないようです。他には難聴・睾丸炎・卵巣炎や膵炎が知られています。難聴は片方だけのことが多く、気付きにくいので注意しましょう。睾丸炎や卵巣炎は大人になってからの合併症といわれています。
予防法は?
唯一の予防法は予防接種です。現在は任意接種ですので、よく考えて受けるかどうかを決めましょう。おたふく風邪はそれほど重症にならず治ることがほとんどなので接種は必要ないという考え方もありますし、難聴や髄膜炎などのことを考えると受けておいた方がいいという意見もあります。うちの子供にはカナダでMMRワクチンを受けさせました。一方日本ではMMRワクチンは中止されています。合併症の無菌性髄膜炎が多く発生したからです。安全なMMRワクチンが早く使えるようになるといいのですが…。
ワクチン接種には賛否両論ありますので、医師とよく相談の上、よく理解したうえで接種しましょう。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。
<参考リンク先>
流行性耳下腺炎(かのうクリニック)
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)(土川内科小児科)