「フールスキャップノート」B5:252円、B6:189円、A7:126円
PENCO「フールスキャップノート B5」一冊252円(税込) 表紙のラインの色はブラック、グリーン、パープル、ブラウン、ピンクの五色 |
「マルゴの大学ノートが大好きで、初めて手がけた文房具もノートで、ずっとやりたかったのが大学ノートなんです」という菅原さんの言葉通り、満を持して登場したPENCOの大学ノートは、その手頃な価格からは想像できないくらい、細部にまで工夫とこだわりが詰め込まれています。まずこだわったのは、その中紙。透かしが縦に入ったマルゴフールス紙を使用していて、その適度な滑りの良さは万年筆や鉛筆での筆記がとても心地よいものです。また、蛍光顔 料を使っていないため、目に優しい白さなのも、このノートの特徴になっています。
オーソドックスな大学ノートのデザインに、角丸などのアイディアをさりげなく混ぜている |
表紙は、大学ノート伝統の毛入紙に黒の背帯、金の箔押しとタイトルラベルと、大学ノートの基本フォーマットに則った上で、ラインや毛の色を、ブラックだけでなく、グリーン、パープル、ブラウン、ピンクと五色揃えるあたりが、PENCOならでは。また印刷も活版印刷で、クッキリと艶やかに仕上がっています。大学ノートとしては珍しく、角を丸くしてあるのですが、それだけで表情が柔らかくなり、手に取りやすくなっています。
フールス紙の特性が書かれた英文。架空の海外文具ブランドらしさがここにある |
裏表紙には、フールス紙の特性が英字でプリントされています。この、「小さな英文字が並ぶデザイン」も菅原さんのこだわりですが、このような細部が、大学ノートのクラシカルなムードと、現代のツールとしてのカッコ良さを合わせ持ったノートを形作っているのだと思います。
透かしが縦に入る上質なフールス紙を使用。罫線も水性インクを引いている |
フールス紙の品質はもちろん、B5サイズのノートの場合、罫線が31行になっていて、1日1行で1ページ1ヶ月という仕様になっていたり、水性インクで罫線引きを行い、万年筆などのインクを罫線が弾くことがないように配慮したりと、使いやすさを考慮したアイディアが細部まで行き渡っています。「東京の職人さんの手による、正に、MADE IN TOKYOの製品ですよ」と菅原さんは胸を張っていました。
色んな筆記具で書いてみた。筆記具を選ばない書き心地で、どの筆記具でも安定して書ける |
実際に書いてみると、やはり気持ちよいのは、中字以上の太さの万年筆、または柔らかめの鉛筆でしたが、水性ボールペンの書き心地も中々。しかも裏写りがないので安心して使えます。この筆記具は向かない、というものがない、安定した書き心地です。滑り具合が丁度良い感じで、油性ボールペンのひっかかりが少ないのも魅力です。罫線自体も、太さに少しだけムラがあったり、紙の色が優しかったりして、そのほんの少しの「遊び」が、書く文章を受け止めてくれ る感じがします。この、デザインで気分を良くしてくれる、というのが、PENCOというブランドの、一番面白い部分ではないかとガイド納富は考えていま す。
インデックスページが付いていて機能性も高い。 |
さらに、このノートには最初のページにインデックス用のページが用意されています。これは、能率手帳のノートと同様の仕掛けですが、このインデックスがあると、ノート全体を一つの資料として使えるので、とても機能的になります。菅原さんが「良い大学ノートには厚いタイプしか無かったから、薄いノートが欲しかった」と言っていましたが、60ページという手頃な厚さだからこそ、このインデックスのページも生きてきます。
インデックスページや表紙に印刷されている、ペンギンのマークは、このノートのために作られたロゴだそうですが、このポップなんだかクラシカルなんだか分からない感じが、PENCOのスタイルを表しているように思います。ペンギンがペンを持ってるなんて、ベタと言えばあまりにベタなのに、可愛くカッコ良く、大学ノートの中心に誂えたように坐しています。このノートは、B5の他に、横長のB6、手のひらサイズのA7と3サイズが揃っています。
ガイド納富の「こだわりチェック」
PENCOは、基本的にはカジュアルで手頃な価格の日常遣い文具のブランドです。でも、その中に小さな工夫や、しゃれたデザイン、デザインが生む 扱いやすさや心地よさ、などが、上手くパッケージングされて、いわゆる「デザイン・ステーショナリー」や雑貨としての「オシャレ文房具」とは、一味違った、実用的なデザイン文具のブランドになっていると感じます。それは、多分、デザインしている菅原さんやスタッフが、「使う」という部分と「デザインする」という部分を分けて考えていないからだと思うのです。
ラインアップに三角スケールやカッティングマット、芯ホルダーがあるのを見ても分かるように、どこかプロのツールのカジュアル版が文房具である、というような認識があるような気がするのです。仕分け付きのクリアファイルなんて製品も、プロっぽい発想ですし。ただ、それらのツールを、デザインでカジュアルに使いやすくして敷居を低くする、それがPENCOの仕事なのでしょう。だから、ユーザーである私たちは、PENCOの製品に触れるとき、まる で、昔海外文具に初めて触れたときのような、よく知ってるのに、知らないような気がしてワクワクしてしまうのです。架空の海外文具メーカーとは、良く言ったものですね(笑)。
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