メモや手帳にペン挿しは必要か論争の一つの回答
サンスター文具「バインダーボール」 写真左:各色399円、写真右メモセット:各色525円 色は、黒、白、オレンジ、ピンク、ライトブルー、ライトグリーンの6色 |
例えばロディアなどの携帯型メモ帳をケースに入れたいと思う人の大部分は、ロディアにペン挿しの機能を持たせたいからという理由でケースを購入するようです。これは、モールスキンやクオバディスの手帳などでも同様ですし、リングメモを愛用している人には、リング部分にペンを差込んでいる方も見かけます。
実際、メモや手帳を携帯するのは、その内容を参照するためでもありますが、気がついた時、何かあった時に、素早くメモを取りたい、手帳に書き込みたいと思うからこそで、だから側に筆記具があって欲しいというのは当然の要求です。そこで、メモや手帳にペン挿しの機能が欲しくなるわけですが、一方で、メモや手帳のシンプルな形状に、ペン挿しは邪魔だという意見もあります。ペンはペンで別に携帯していた方が、様々な手帳やノートにも対応出来て便利だという考え方もあります。
実際、ロディアのブロックメモなどは、そのまま持ち歩く方が使い勝手も良く、見た目もキレイなのです。そこにわざわざケースを導入するのは、ペン挿しのために他の良さを犠牲にする感じもあります(まあ、そこまで大袈裟に考えなくてもいいんですけど、極端に言えば、そんな感じですよね)。まあ、何が正解という話ではないのですが、使う側にしてみても、何となくモヤモヤしながら、やっぱりペン挿しはあった方が…、とか、ペンは別に持つ方がカッコいいような…、とか考えが揺れているというのが実情ではないでしょうか。
多分、文具王とよばれるような人でも、そんな事を考えていたのだろうなあと思うのです。そして、サンスター文具の「バインダーボール」は、その解答の一つを具体的に形にした、そんな新しいボールペンだと思うのです。
ペン全体がスリムなクリップになっているという発想
ペン全体がクリップになっている。後ろの黒い部分をノックして芯を出す |
「バインダーボール」は、見ての通り、スリムな細長いクリップにボールペン機能が内蔵されている、といった感じの製品です。だから、メモ帳を挟んでしまえば、携帯時はメモ帳のページ押さえにもなり、筆記時は、そのままボールペンになり、収納時、クリップを開くとボールペンの芯が収納されて、またクリップに戻ります。
クリップの蝶番部分にボールペンが仕込まれている |
トンボの「PFit」は、ペンのクリップ部分が大きくなっている、縦にペンを挟むタイプですが、この「バインダーボール」は、横に開くというのが斬新です。そのおかげで、メモなどを挟んだ時に、ブラブラすることがなく、しっかりと装着出来、カバンの中で外れたり、他のものが引っ掛かったりすることもありません。その装着具合は、下手なペン挿しよりもしっかりしているくらいです。
手元にある、色んなメモや手帳に装着してみました。
ロディアNo.11との組合せ。ルックスがいいなあ。 |
ニーモシネ・ノートパッドA7サイズとの組合せ。剥き出しのメモとの相性が良いのは嬉しい |
コクヨ「測量野帳」の薄さが、バインダーペンにちょうど合う感じ |
デザインフィル「トラベラーズノート」とはベストマッチング。機動力が格段にアップ |
クオバディス「プレーン」の背中に挟むと、挟んだまま予定の確認ができる |
マルマン「ニーモシネ・ノートパッドA5」のフォルダー上部に取り付けてみた。バインダー感覚で使えるのが魅力 |
銀座五十音オリジナルの革表紙のメモに付けてみた。表紙部分に取り付けると、書くにも見るにも良い感じ |
モールスキンの表紙部分に挟んでみた。サイズバランスがいいなあ |
モールスキンのゴムバンドに通してみた。結構カッコいい |
最小の大学ノート「NADD」+専用ケース「ポケッティア」に装着。クリップ主導型のメモも面白い |
鞄のショルダーストラップに付けておくのも便利だった |
こんな風に、結構、挟んでしまえば意外に落ち着きが良くて、ガイド納富の個人的な感想としては、単にビニールの帯をループさせただけのペン挿しにペンを挿すよりも、むしろカッコ良いのではないかと感じました。特に、トラベラーズノートや、五十音オリジナルのメモパッドのような、基本がシンプルな革表紙のメモ帳には、誂えたように似合うなあと思うのです。
ロディアの場合は、見た感じは良いのですが、実際、ロディアのブロックメモの厚さは、バインダーボールを目一杯開いてギリギリという感じなので、あまり便利な感じがありません。しばらく使って薄くなったらちょうどいいのですが、薄くなるまで待つというのもおかしな話ですし。むしろ、モールスキンの表紙部分やゴム部分に装着するとか、Thinking Power Notebookのような薄手のものへの装着の方がお互いの良さを引き出せるように思いました。
開発に携わったサンスター文具の社員でもある文具王、高畑正幸さんの本当のお勧めは、マルマンの「ニーモシネN92」というB7変形のリング留めのメモ帳だそうです。確かに、形状と使い勝手から考えると、リングメモとの相性はとても良さそうです。ガイド納富のお勧めは、懐中雑誌「ぱなし」という、予定表、メモ帳機能を持ったA5スリム判型の月刊誌との組合せです(ガイド納富が編集長を務めています。手前味噌ですみませんが、よく似合うと思うのですよ)。
バインダーボールのボールペンとしての実力を検証
リフィルは、ペン先をペンチなどで引き抜いて交換する。上がハイテックCのリフィル「LHRF-20C4-B」を下がスタイラスのリフィルを装着したもの |
バインダーボールを、一本の筆記具として見た場合、その特殊な形状が筆記具としては使いにくいのではないかと思ったのですが、実際に手にしてみると、これが思いの外、手に馴染むので驚きました。丸みを帯びた曲線が上手い具合に指にフィットして、上部の平たい部分が人さし指にかかって、しっかりと三点保持が可能なのです。取り落としにくい形状なのも、外で立ったままの筆記が多いであろう使用スタイルに合っています。
さらに、リフィルは、いわゆる「4C」タイプ、つまり、マルチペンに使われているリフィルが採用されているので、様々なリフィルと交換して使う事が出来ます。ハイテックCのリフィルを付けて、手帳に細かい文字を記入するとか、スタイラスのリフィルを付けてDS Liteと組み合わせるとか、多少高価にはなりますが、トンボ「XPA」用の加圧式リフィル(300円)を付けて、アウトドア対応全天候型にするとか、その使い方は様々に広がります。
ガイド納富の「こだわりチェック」
実は、ガイド納富は、この「バインダーボール」のデザインもとても気に入っています。特に、鋭角に切られた三角の先端部分からペン先が出てくる様子は、筆記具で初めてニューヨーク近代美術館の永久収蔵品となったアウロラの「テッシー」を思わせるカッコ良さだと思っています。何と言うか、とても「筆記具的」なのです。クリップの機能そのままなのに、筆記具としてのデザインバランスを大事にしている感じが、とても好きです。
ロディアに挟むと、やや長く、クリップの開きはやや窮屈なのですが、それが、筆記具としてのバランスの良さを選択したものであれば、そっちの方が正解だと、ガイド納富は感じます。この「バインダーボール」のような、機能が形を決め、機能が製品の評価も決めてしまうような製品の中で、それでも「筆記具」であることを忘れていないことが、この製品をキワモノではない、文房具にしているのだと思います。
その上で、やたら、色んなメモや手帳に似あっていて、価格も手頃で、カラーバリエーションもあって、子供も大人も男性も女性も使えて、ネタとしても楽しめるのですから、嬉しい製品ではありませんか。と言うガイド納富は、既に3本体勢で使い倒しています。
<関連リンク>
・サンスター文具「バインダーボール」のカタログページ(文具王のブログより)
・サンスター文具のホームページ
・文具王高畑正幸氏のホームページ
・マルチペンのリフィル交換を紹介したガイド記事はこちら
・ハイテックCのリフィルを紹介したガイド記事はこちら
・マルマンのニーモシネ・シリーズのサイト
・懐中雑誌「ぱなし」が購入できる信頼文具舗のサイト