男のこだわりグッズ/iPod・ミュージック関連グッズ

至極のスピーカー!チボリオーディオ「Model One」

50年間、アメリカのオーディオ・エンジニアとしてトップを走り続けたヘンリー・クロス氏が、その技術をフルに投入して晩年に作った究極の小型オーディオが「Model One Radio」です。iPodを繋ぐと凄いです。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

ラジオとiPodなどが聴ける小さなスピーカー

チボリオーディオ「Model One Radio」
価格26,250円(税込)

ガイド納富が、チボリオーディオ(Tivoli Audio)「Model One Radio」を初めて見たのは、大好きな雑貨店「アシストオン」の店頭でした。第一印象は、「ミッドセンチュリーみたいだけど、もっと感じが良いデザインで、懐かしいけど新鮮な感じがするなあ」でした。その時は、いわゆる「デザイン家電」の流れで登場した新しいオーディオだと思ったのです。

ただ、それにしては、その佇まいが奇を衒う所が無く、やけに落ち着いて見えて、気がつくと、その大きなツマミを回したりして、その回し心地の良さに感動していました。次の瞬間には「すみません、これ試聴出来ますか?」と聞いて、手持ちのiPodを繋いでもらって、お気に入りの曲で試聴させてもらっていました(余談ですが、オーディオ機器を試聴させてもらう際に、iPodに好きな曲を入れて持って行って、それを再生してもらうようにすると、普段聞き慣れている曲だけに、オーディオ機器の特徴が分かりやすくなります。お店が許してくれるようなら、試聴の際には是非お試し下さい)。

実際に聞いてみると、それがただのデザイン家電ではないことがすぐに分かりました。小さいくせにピーキーなノイズが少ない、とても耳に心地よい音。それでいて、クリアで伸びやか。しかも、モノラルなのにとても臨場感が豊か。机の上に置いておけるコンパクトな大きさも扱いやすく、その場でお持ち帰りを決意してしまいました。
 

ステレオでなくても臨場感抜群!のスピーカー

シンプルなフロントパネルは懐かしくも新しい

このチボリオーディオ「Model One Radio」は、小型高音質のスピーカーの元祖とも言える「AR-1」というブックシェルフ型スピーカーを設計した、スピーカー造りの神様、ヘンリー・クロス氏が、その長いキャリアを経て晩年に辿り着いた、小型スピーカーの究極の作品。つまり、50年以上にわたり、オーディオ・エンジニアの第一人者として活躍してきたヘンリー・クロス氏の結論とも言えるスピーカーなのです。

3インチのフルレンジスピーカーがバスレフ型の筐体に収められています。全体は、W213×D133×H110mm、1.7Kgと、机の上に置いたりベッドサイドに置いて邪魔にならないコンパクト設計です。パッと見は、古いラジオみたいな感じです。しかし、iPodなどを繋いで好きな曲を再生してみると、そこに音楽が立ち上がります。音の粒が一つ一つ聞き分けられる解像感の高さのせいか、モノラルなのに音が混ざらず、クリアにライブな臨場感たっぷりに聞こえてくるのです。

確かに、左右にスピーカーを配置してステレオで再生する方が、音像の定位、つまり、音の空間的な配置に関しては有効です。しかし、良い音、臨場感のある音は、別に音像の定位から来るものではありません。ステレオ感を極端に強調した音楽は、どうしても下品になりがちですし、映画のSE(特殊効果音)くらいでしか使われません。ならば、1スピーカーのモノラル再生でも、それが良い音で、音の分離がしっかりしていれば、十分、臨場感を得られるということです。そんな、実は当たり前のことを、ガイド納富は、この「Model One Radio」で初めて知りました。体験しないと分からないことはありますね。
 

必要最小限の機能に込められた深いこだわり

背面もシンプル。外部アンテナと内蔵アンテナの切替スイッチも用意されている
「Model One Radio」は、その名前通り、基本はFM/AMのラジオです。それに、iPodなどを繋ぐ外部入力端子が1つと、ラジオや外部接続した機器の音声を出力する録音出力端子が付いているだけです。そのシンプルな構造も、必要最小限、音を楽しむツールとしての潔さを感じさせてくれます。実際、ヘンリー・クロス氏の死後、チボリオーディオでは別途スピーカーユニットを用意してステレオ仕様にしたタイプや、同デザインのCDプレイヤーなども発売していますが、製品としての魅力、使い勝手、必要性、どれをとっても、「Model One Radio」を越えることはありません。

ボタンはラジオのチューニング用のつまみと、電源オンとラジオ、外部入力を切り替えるロータリースイッチ、音量つまみの3つだけ。このシンプルさもヘンリー・クロス氏のこだわりです。しかし、この3つのつまみは、実際動かしてみると分かるのですが、とても操作感が良いのです。特に、ラジオのチューニングつまみは、つまみ部分を5度動かすと外のダイアルが1度動く「5:1レートダイアル」を採用。デリケートなチューニング操作を気持ち良く、素早く、細かく行うことが出来ます。

キャビネットの木目は、上の板から側面へと木目が繋がっているのも、こだわりのポイント。素材もウォールナットやメープルなど、普通の家具と同じなので、家の中で浮かないのです。本当に、さりげなく、そこにあるオーディオなのです。
 

ガイド納富の「こだわりチェック」

パッケージにはヘンリー・クロス氏の写真を採用

これは、本当に良いです。iPodやiPhone、ウォークマンといったデジタルミュージック・プレイヤーなど、普段使っているヘッドフォン用のプレイヤーを繋いで、室内で再生するスピーカーとして、これ以上のチョイスは無いのではないかと思っています。価格も26,250円(税込み)と、モノの良さからすると格安と言ってよいほどですし。

実際に使って見ると、思いの外ラジオの感度が良いのも魅力です。ガイド納富の部屋は決して電波状況が良い場所ではありません(というか、かなり「悪い」方です)。しかし、特にアンテナを繋ぐことなく、NHK-FMやFM東京が受信できます。ラジオの電波を追いかけるように受信するチューナーを内蔵しているのは伊達ではないようです。

カラーバリエーションもクラシックウォールナット+ベージュ、チェリー+コバルトブルー、メープル+ハンターグリーン、ブラック+シルバー、ホワイト+シルバーと色々あります。部屋に合わせて選べば良いと思いますが、中ではやはり、写真の「クラシックウォールナット+ベージュ」がオススメ。このデザインには、このカラーリングが最も似合うと思うのです。

高級オーディオでもなく、簡易オーディオでもなく、とても手に馴染む、言わば生活オーディオとでも言うべき製品。それでいて、このハイクオリティは、もはや製品とかオーディオとか言うより、一つの作品と言って良いような気がします。なくならない内に買っておくべき数少ない名作の一つだと、ガイド納富は思っています。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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