フルオーダー鞄の個展が開かれました
ワインをボトルで持ち運べるなんとも贅沢な鞄です。サイドの引き出しを開けるとコースターが出てきたり、しかけがユニーク。採算が合うのかな~と心配してしまうほど、よく作られた鞄です。革の質感と色も高級感がありますね。 |
渋谷に店舗と工房を構えるFugee 藤井鞄。先日、オーナーであり職人でもある藤井幸弘さんがこれまで手掛けてきた16点のフルオーダーの鞄がギャラリーで展示されました。
何度か取材を通して鞄を見る機会があったのですが、これほどの数を一度に見ることはなかったので勉強になりました。既に注文主の元に嫁いでいるため、再び藤井さんが借りてきたという貴重な鞄なんです。
イタリア製の革を使った風合いのあるアタッシェケースです。デッドストックのチーニー製の錠前を取り付けていて、とてもクラシックな雰囲気を漂わせています。 |
以前、藤井さんに伺ったところ「フルオーダーの鞄はさまざまな注文に応えなくてはならない。同じ型の同じ革の鞄ばかり縫っているわけにはいかないので難しい」とおっしゃっていました。
たしかにここに展示されている鞄は注文主のライフスタイルに合ったものだし、型も革も大きさもバラバラ。とても同じ職人が縫ったとは思えないほど。
着物に似合う鞄を、ということでオーダーされた小ぶりな鞄です。畳の上に置いても馴染みますね。注文主は羊屋のオーナー西口太志さんです。 |
写真には写ってないですが製図というか設計図も展示されていました。とても細かく書き込まれていたのには驚き。かなり緻密な能力と高い技術がないと作れないなあ~と思ってしまいました。ボクには不向きです(笑)。
ボルドー色のアタッシェケース。一見普通ぽいのですが、蓋を閉じたときに両端の金具が綺麗に収納されます。錠前はチーニーのデッドストックです。内装も素晴らしいです。 |
「設計図をもとに試作品を作って、お客さんに確認してもらいます。そこでアイデアがあればまた改良を加えていきます」とのこと。革同士をしっかり縫っていないものの、鞄の形になっているためお客さんも把握しやすいそうです。
藤井鞄の魅力とは
ちょっと大きめの鞄です。素材にはデッドストックのカールフロイデンベルグのボックスカーフを使用。所有者は羊屋のオーナー西口太志さんです。今回展示された16点のなかで、個人的にはこのクラシックな鞄が一番好きです。 |
これほど世の中に鞄があるのに、藤井さんにオーダーしたり、手縫いのレディメイド(スタンダードライン)の鞄を買われる人が多いのには理由があります。
簡単にいうとクオリティが別格なんです。
1.麻糸を使って手縫いで丁寧に縫っている。
2.専門工具を使ってコバの近くに念を入れている。これは革と革を縫い合わせた部分を圧縮する大切な工程。
3.コバの仕上げが丁寧。布海苔を使って丹念に磨いている。
4.軽量化するためにスポンジや厚紙を入れていない。イタリアものにはなぜか多いですよね(笑)。
5.ハンドルと金具との間に隙間がほとんどない。つまり手縫いでギリギリのところまで縫っているので、ぐらつくことがない。
6.真鍮製、シルバー製のオリジナルの錠前。上質のデッドストックの錠前を使用。
7.ヨーロッパの一流タンナーの上質の革を揃えている。
8.裏打ちなど表からはわからないところにも徹底してこだわっている。フルオーダーの場合はとくに顕著。
9.10年~20年は使え、しかも美しさを保ってくれる。
こちらもデッドストックのカールフロイデンベルグのボックスカーフを使っています。クラシックなデザインがいいですね。蓋を留める金具も藤井さんが作られたとか。大変手間がかかっている鞄なんです。 |
とうぜん手縫い鞄ということもあって10万円や20万円で買えるものではありません。高いといえば高い値段なんですが、もしこのクオリティでフランスの職人が作ったとしたら・・・、天井知らずの値段になることは間違いないです。
イタリア製の表情のある革を使ったボストンバッグ。経年変化が楽しめる革が魅力です。頑強に作られたハンドルもいいですね。旅行に最適です。 |
それでもフルオーダーはちょっとという方には手縫いのレディメイド(スタンダードライン)がおすすめ。値段も29万円~なので、とくに大きさやデザインが気に入ったら絶対にお買い得です。
●スタンダードライン
レディメイド 29万~
セミオーダー 33万円~
●フルオーダー 40万円~
藤井鞄(ふじいかばん)
東京都渋谷区鶯谷町18-8 亀山ビル101
営業時間 12:00~20:00
定休日 木曜
TEL&FAX 03-5489-2279
http://www.fugee.jp
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