狙い目は角金アメリカンウオッチ
1940年代製の手巻きのブローバです。取材を終えた帰りですね。多少広角レンズなので腕時計が大きく写っていると思いますが、まあバランスはいいと思います。横幅21mm、縦(天地のラグからラグまで)38mm。10Kゴールドフィルドケース。私物。 |
ゴールドといっても18Kは少なく、14K、10Kが多いです。14K、10Kにはそれぞれ無垢、金張り(ゴールドフィルド/GF)、金メッキ(ゴールドプレート/GP)があり、まれにWGもあります。
とうぜん14K無垢が超高級品で、14Kゴールドフィルドが高級品になります。
ブランドによっては普及モデルよりもハイグレードなムーブメントを搭載しています。
アメリカのパテック フィリップと称されたハミルトンの場合、高級手巻きムーブメントのキャリバー982が搭載されているのは、18K無垢と14Kゴールドフィルドです。推測ですが10Kゴールドフィルドクラスでは搭載していないのだと思います。
ハミルトンに限らず、アメリカブランドのグリュエンやブローバに搭載されているムーブメントも優秀です。当時のスイス製の腕時計に比べても引けを取っているとは思いません。
専門家の目から見ればどうかわかりませんが、各歯車の仕上げ(飾り溝や刃先の研磨など)、
ブリッジに施されたコート・ド・ジュネーブ(ハミルトン)、チラネジ付きのテンワなどを見る限り、とても雰囲気のある、丁寧に作られたいいムーブメントです。
大量生産がウリのエルジンでも高級ラインのロードエルジンになると、ぐっとムーブメントが良くなり、ハイグレード仕上げになります。もっと大衆向けに製造していたインガソルやタイメックスとは一線を画しています。
他にもウォルサムやベンラス、ロンジンのアメリカでの輸入代理店でもあったウィットナーなども角金モデルを製造しています。
強い印象を残す角金モデル
こちらも1940年代製造と思われる手巻きのウォルサムです。じつは縦にかなり長いのですが、うまく手首に沿っているので大きく感じません。文字盤はかなり汚れています。横幅20mm、縦(天地のラグからラグまで)45mm。10Kゴールドフィルドケース。私物。 |
当時のアメリカはすでにモータリゼーションが普及していたこともあり、各社がドライビング・ウオッチを発表するなど、斬新なデザインも目立ちます。
ケースが大きく湾曲したグリュエンのカーベックスはその代表モデルですね。
前回紹介したような丸型3針の手巻きモデルが一番好きですが、たまにはスクエアな腕時計をしたくなります。
ほんと、人間はわがままな生き物ですから、完成度が高いと思っている丸型3針でも、やっぱり飽きてしまうんです。
とくにスーツやジャケットを着て、キリッとした印象を与えたいときには角型は効果的です。同じ腕時計なのに丸型とはまったく違う雰囲気ですね。
ボクの場合、気分転換したいときや、大切な打ち合わせのときにアメリカンウオッチの角金モデルを選びます。
べつに見せるために着けているわけではないのですが、結果的に見られるもの。どうせ見られるものなら少しくらいは戦略的に腕時計を身に着けてもいいでしょう。
角型は丸型よりも強い印象を与えることができます。
現行モデルの高級ブランドで説明するとわかりやすいでしょう。フランク・ミュラーのロングアイランドや、ロジェ・デュブイのゴールデンスクエアのほうが、パテック・フィリップのカラトラバより強烈な印象を残すということです。