“侘び寂び”あるドイツ時計
ブラックレイン JAPAN LIMITED MODEL 自動巻きムーブメント(ペルラージュ仕上げ)、ステンレススティール&ブレス、ケース径42mm、100m防水、26万2500円 |
クラウス・ウルブリッヒは、1960年代に時計学校で複雑ムーブメントの設計を学んだのだが、当時はドイツ時計産業が凋落する中でその技能を生かす場が得られず、長くエンジニアやマーケティングマネージャーとして過ごした。彼の情熱を再び時計に向かわせたのは、1980年代から90年代にかけてスイスで本格的に復活した機械式時計だった。
1997年にテンプション(ラテン語で時間や機能の意味)を創設したウルブリッヒは、“less is more(最小こそ最善)”をコンセプトに掲げ、バウハウスや日本の侘び寂びにインスパイアされた簡潔な機能美を追求する時計を発表して注目されるようになった。
その世界がよく表現されているのが最新モデルの「ブラックレイン」。テンプションらしいマットブラックを基調としたデザインには、墨絵に通じる静謐で力強い趣がある。外観はあくまでもさりげないが、細部までよく作り込まれ、機能的にも優れた1点である。
カメオ 自動巻きムーブメント(ペルラージュ仕上げ)、316Lステンレススチールケース、ケース径42mm、100m防水、23万1000円 |
テンプションというと、フルカレンダー装備の自動巻きクロノグラフがまず思い浮かぶが、角形ケースの「カメオ」も見逃すわけにいかない。これもシンプルな機能美が印象的なモデルだが、2009年発表の限定モデル「カメオS」は、とりわけ色づかいに新境地をうかがわせる。
従来は黒のイメージが強いテンプションだが、縦にストライプの入ったこのモデルのシルバー文字盤は、分目盛りのバーや秒針を赤で彩り、今までになく明るく軽快な表情を演出している。3本の黒いラインで描かれた独特の針も文字盤にアクセントを添え、建築的な美しさを感じさせる。各要素のバランスが巧みに計算されたいるので視認性も申し分ない。また、緩やかに湾曲したケースが、角形ではなかなか難しい10気圧防水を確保している点も秀逸。
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