男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

ジャスパー・モリスンの美意識を宿すラドー

ケースのコーナーが独特のカーブを描く最新作の「r5.5」は、プロダクトデザイナーのジャスパー・モリソンによるデザイン。セラミックを巧みに使った斬新な時計で有名なラドーに新しい魅力を発見させる。

執筆者:菅原 茂

ラドーr5.5
ラドーr5.5
自動巻き、セラミックスケース、30万8700円

21世紀になって時計のデザインは目覚ましい変化を遂げた。その重要な役割を演じるのが素材。伝統的な貴金属やステンレススティールだけでなく、チタンや特殊合金、セラミックスやラバーなどさまざまな素材が複合的に多用され、今までにないデザインが次々と登場してきている。とりわけセラミックスは脚光を浴びる存在だが、ラドーはこの素材を1980年代よりいち早く用いてきた先駆者である。

イギリスの有名なプロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンが「r5.5」をデザインする過程でポイントに置いたのは、セラミックス表面のマット処理加工だった。光沢を抑え、艶を排したブラックのセラミックの質感により、ケースとブレスレットが一体になって連続するこの時計に、モダンにしてクールという独特の印象がもたらされた。身近なインテリア製品におけるデザインワークが日本でも知られているように、ジャスパー・モリソンは、素材感を生かしたシンプルな造形に特徴がある。このラドーのセラミックスウォッチにも、そんな彼のスタイルが健在だ。

ラドーr5.5 クロノグラフ
ラドーr5.5 クロノグラフ
自動巻き、セラミックスケース、36万7500円

「r5.5」の名称は、ケース四隅の丸み、つまりアールが半径5.5mmの曲線で描かれたことに由来する。モデルは、ベーシックな3針、3針に日付表示を加えたもの、そしてクロノグラフの3タイプがある。「大き過ぎない適切なサイズが好きだ」と語るように、ケースは37mm。男女を問わず着けられる程良いサイズである。

クロノグラフの場合、文字盤のデザインが少々難問だったという。彼は、積算計をにぎやかに並べる従来のようなクロノグラフではなく、表示要素を絞り込むことを優先した。そのバランス感覚がみごとに功を奏し、「ミニマムな要素で成り立っていても、シンプル過ぎない」という彼らしいクロノグラフが誕生した。もちろん、そこにラドー特有の個性もうまく表現されている。

今回のプロジェクトで時計のデザインに開眼した感のあるジャスパー・モリソンは、「ラドーの全製品をデザインしてみたいね」と意欲満々。2010年バーゼルワールドで新作に期待される。


【問い合わせ先】
ラドー事業部 TEL 03-6254-7331
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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