男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

ヴァルカンの時計を自作する醍醐味

7月18日の記事で紹介したように、スイスの時計ブランド、ヴァルカンから日本のファンに向けて自作キットがこの秋に発売され、大きな話題に。実製品と同じ機械式時計を自分で作り上げる貴重な体験ができる。

執筆者:菅原 茂

残りわずか。時計職人気分で挑戦するチャンス

時計好きが高じると、手に入れるだけでは飽きたらず、自分で作ってみたくなるだろう。とはいえ、一般の愛好者がそうした機会を手に入れることは、まずないといってよい。時計づくりは、技術に習熟した職人だけに許される専門分野だからである。

テクニカルワークキット
パーツと工具、組み立ての説明書などが収められた「テキニカルワークキット」の専用ボックス。すぐにでも組み立てたくなるところだが、未経験者が自力で完成させるのはまず無理。講習会を受けて確実に作り上げよう
今回、ヴァルカンが発売した「テクニカルワークキット」は、市販されている本物の機械式時計を部品の状態で提供している点で画期的である。お遊びで組み立ての雰囲気だけを疑似体験する、クォーツ時計の簡単なキットといったものとは完全に異なる。通常、スイスの著名な時計ブランドが、このようなキットの形で時計を発売する例はないが、ヴァルカンは、150周年記念の一環として日本のファンに特別に企画したというから嬉しい。

「ゴールデン・ヴォイス ロンド」 「ゴールデン・ヴォイス キャレ」
ヴァルカンの「テクニカルワークキット」として発売された2つのモデル。「ゴールデン・ヴォイス ロンド」(左・47万2500円と「ゴールデン・ヴォイス キャレ」(右・52万5000円)。ともに、手巻き、アラーム機能付き、ステンレススティール・ケース。各20本限定

モデルは、丸形の「ゴールデン・ヴォイス ロンド」と角形の「ゴールデン・ヴォイス キャレ」の2種類。「クリケット」で有名なヴァルカンのアラーム機構を備えるキャリバーV10を内蔵する機械式時計の名品である。さる9月より各20本を限定発売したが、すでに残りわずかという。写真のように、ムーブメント、ケース、文字盤、ベルトなどがキット状になって、付属の工具セットを用いて、ムーブメントの組み立てに始まり、各種の外装部品を取り付けて完成させる。一連の工程は、実際に時計職人が行うのとまった同じであり、アマチュア向けに簡略化されたところはない。

時計づくりを実体験する講習会は次ページで紹介
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