スポーツウォッチの傑作も復刻
ジャガー・ルクルトの現在のスポーツウォッチ・コレクションといえば、精密さと頑強さを兼ね備える「マスター・コンプレッサー」が有名だが、今回は175周年に合わせて、その系譜を遡る歴史的な傑作ダイバーズウォッチが復刻され、話題になった。「メモボックス・トリビュート・トゥ・ポラリス」という興味深いモデルである。「メモボックス・トリビュート・トゥ・ポラリス」の1968年エディション。ステンレススティール・ケース(直径42mm)、自動巻き、アラーム機能付き、200m防水。180万6000円。世界限定768本 |
古い時代の時計に詳しい方なら、「メモボックス」や「ポラリス」の名をご存じだろう。「メモボックス」は、1950年代にはじめて発表され、時代を画したアラーム付きの腕時計。このアラーム機構を搭載して1960年代に作られたのが、「メモボックス・ポラリス」である。
ジャガー・ルクルト社資料によれば、1962年に試作され、1965年から1970年の間に1714個が製造された。製造個数が少ない割にディテール違いのバリエーションが多くあり、現在でもコレクターズ・アイテムになっている。ところで、「ポラリス」とはアメリカのミサイル潜水艦の名。冷戦時代にアメリカ市場でこの時計を強く印象づけるために採用されたというエピソードも伝えられている。
「メモボックス」のかつての広告 |
かつてのモデルが、当時の画期的な高機能時計であったのと同じように、この復刻モデルも、機能と品質の点で現代の高水準をゆく。自社で培った技術が伝統となって過去から現在まで受け継がれているからこそ、このようなことが可能なのだ。
こうした歴史背景を知らず、かりにコレクターでなくても、「メモボックス・トリビュート・トゥ・ポラリス」は、現代のスポーツウォッチとして時計好きにアピールする大きな魅力を備えていると思う。ちなみに、雑誌ENGINEのスイス新作時計座談会で、私がベストワンに選んだのは、このモデルだった。
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