機械式時計の性能は永久に保たれるわけではない

時計好きなら、購入の際にデザインばかりでなくムーブメントの性能や機能も当然気になるはず。まず第一に重要なのは精度である。安定して高い精度が保たれなくては、正確な時刻表示も、クロノグラフの精密な計測機能も実現できないのは、言うまでもない。

オーバーホール
安定した精度を保つため、どの時計メーカーも定期的なオーバーホールを推奨する。自動車でいうところの車検をイメージしてもらいたい

時計の性能として表記されているのは、あくまでもメーカーから出荷され、販売される時点での性能を指し、使っているうちに経年変化が生じる。機械式ムーブメントの場合、最初のうちは、いわば慣らし運転の状態にあり、性能が安定しないこともある。また、歯車や脱進調速装置など、動く金属部品がたくさんあるので、使用しているうちに摩擦による摩耗、油の劣化や汚れなどで、性能はおのずと低下する。そのため、時計メーカーとしては、定期的にオーバーホールを受けるよう勧めるわけである。自動車の車検をイメージすれば、わかりやすいだろう。

洗浄
内部のメンテナンスだけでなく、ケースやブレスレットの洗浄も定期的に行いたい
こうした機械式時計の仕組みをきちんと理解していて、メンテナンスを受ける愛好者なら問題ないが、実際は、調子が悪くなったり、故障してからアフターサービスセンターに持ち込まれるケースが多いという。日常使っていて、精度が目に見えて低下したり、機能に不具合が生じないかぎり、自発的にメンテナンスを受けようという気が起こらないのは、心情的によくわかる。だが、機械式時計は高度な精密機器であることを忘れてはならない。その価値をどれほど大切にするかは、すべてユーザー次第である。

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