男の腕時計/その他の国の時計

ドイツの奇才、ヨルク・シャウアー(2ページ目)

職人が個人で創設した時計ブランドは、なかなか興味深い。特別な技術やデザインに、他にはない個性が光っているからだ。ドイツのヨルク・シャウアーはその一人。最新作「Digital 3」も、いま注目の的。

執筆者:菅原 茂

新作の目玉は機械式デジタルウォッチ「Digital 3」

さる1月下旬、東京で「シャウアー展」が開催され、それに合わせてヨルク・シャウアーも来日を果たした。15年あまりの創作の軌跡を一堂に展示するこのイベントでは、すでに生産が終了し、本人の手元にさえ残っていないという稀少モデルも含まれ、シャウアー自身も感慨ひとしおであったようだ。連作として発表し続けてきたクロノグラフは、年を追って洗練度が高まる様子がわかり、なかなか見応えがあった。

Digital 3
「Digital 3」。自動巻き(ドイツ製デッドストック・ムーブメント)。ジャンピングアワー・デジタル表示。ステンレススティール・ケース。世界限定50本。115万5000円

本人曰く「クラシックなシャウアーとはまったく別の方向を目指した」のが、今回話題の「Digital 3」である。これは、機械式ムーブメントを用いながら、液晶ディスプレーさながらに時刻をデジタル表示するという摩訶不思議なモデル。複雑時計というと、メカを誇張したモデルがあふれているが、その逆手をとったユニークな発想が新鮮だ。

以前発表された「Digital 2」を進化させた新バージョンだが、表示のメカニズムは、ジャンピングアワーが基本になっている。ムーブメントは、「Onehand Gold」のように、やはりドイツ製デッドストック。試行錯誤の連続で、やっと実現にこぎ着けたそうだ。昨年春のバーゼルワールドではプロトタイプの段階だったが、今年からいよいよ生産がスタート。世界50本、1回のみの限定生産なので、世界のマーケットで奪い合いになりそうだ。

Day-Date2836
「Day-Date2836 Japan Limited 2008」。スイス自動巻きムーブメント、デイデイト表示。ステンレススティール。日本限定10本。34万6500円
ところで「シャウアー展」でもう一つ気になったのが、「Day-Date 2836」の2008年日本限定モデル。ハンドバーナーを用い、手作業で焼き上げたブルースティール針が特徴で、文字盤にシリアル限定がプリントされる。限定本数はわずか10本と、これまた稀少品。少量生産に徹することで、オリジナリティと品質を守り続ける、いかにもシャウアーらしい作である。

シャウアーの時計は、ステンレススティールが中心で、手間暇かけた手作りを考えれば価格も非常に手頃で、コストパフォーマンスが高い。こんなドイツ時計を1本コレクションに加えるのも一興だ。


【問い合わせ先】
ヌーヴ・エイ チックタック事業部
TEL03-5428-2630
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