男の腕時計/その他の国の時計

数字に見るスイス時計産業

4月になると、恒例の時計フェアがスイスで開催され、数多くの新作が華々しく発表される。しかし、話題の機械式時計だけを見ていては、産業の実像はわからない。現状はどうなのか、数字からさぐってみよう。

執筆者:菅原 茂

スイス時計の主力は機械式かクォーツか

雑誌誌面などで時計記事に目を通す方も多いだろう。とくにスイスのバーゼルやジュネーブで行われる時計フェアが終わると、速報や特集で新製品が矢継ぎ早に紹介され、時計好きにとっては楽しいシーズンの到来だ。

時計輸出量
機械式はいまだに多くはなく、やはり限られた高級品という位置づけ

そこに登場するほとんどは機械式時計である。1990年代に本格的に機械式時計が復活して以来、話題もつねに機械式、とりわけ高度な精密技術を凝らした複雑時計に集中してきたのも事実だ。したがって、情報を受け取る側としては、機械式の完全復活イコール、ほとんどすべての時計生産が機械式に再びシフトしたかのような印象を受けるのも無理からぬことである。

しかし、実際はかなり異なっている。スイス時計協会が発表する統計に目を通すと、興味深い現状が浮かび上がってくる(以下すべて協会発表の公式資料に基づく)。1990年代は全体に占める機械式時計のパーセンテージが完成品の生産個数ベースで一桁台、2000年でようやく8.96%に達したにすぎない。10%を上回るようになったのは、なんと2002年以降である。年度で集計された最新統計は2006年のものになるが、それによれば数字が15.1%へと伸びている。機械式ムーブメントが生産が順調に進んでいることを考えれば、まだまだ伸びる余地がある。

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