男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

腕時計の未来を見据えたジャガー・ルクルト(2ページ目)

ここ数年の時計フェアでは、質、量ともに新作の充実が際立つジャガー・ルクルト。今年は、これまでにない設計のクロノグラフやハイテクウォッチ、ダイバーズなど、話題作が目白押し。新機軸の開拓で一歩先を行く。

執筆者:菅原 茂

機械式時計の未来を先取りする実験的モデル

もう一つの画期的な新作として紹介したいのが、2年をかけて開発された「マスター・コンプレッサー・エクストリーム・ラボ」である。

ジャガー・ルクルト「マスター・コンプレッサー・エクストリーム・ラボ」
独創性で群を抜く「マスター・コンプレッサー・エクストリーム・ラボ」は、未来の時計を開発するジャガー・ルクルトのシンクタンクから誕生。機構からデザインまですべてが斬新だ。そのハイテクノロジーは、6つの特許を申請。自動巻き。カーボン&チタン・ケース。価格・発売時期未定

この腕時計の特徴は、なんといってもオイルフリー・ムーブメントだ。機械式ムーブメントは、軸受けやさまざまな部品に摩擦を軽減させるためのオイルが用いられている。しかし、オイルは経年変化による劣化が避けられず、それが精度に影響を及ぼす。性能を維持するには、定期的な洗浄と注油が不可欠だ。オイルフリー・ムーブメントは、それをまったく必要とせず、部品の摩耗や精度低下とは無縁なのである。これは、機械式時計の歴史上、革命と呼べる快挙である。

また、オイルフリーには大きなメリットがある。低温で固まったり、温度で粘性が変化するといったオイルを不要とした結果、このモデルの場合、摂氏マイナス40度からプラス60度という、日常をはるかに超える過酷な環境でも使用に耐えうる。こうしたオイルフリーの実現に中心的な役割を演じているが、時計界に初めて用いられるイージウムという新素材だ。

ほかにも、テンプを形状や素材から見直したトゥールビヨン、カーボンファイバー製インナーケースとチタン製アウターケースを組み合わせた外装、ムーブメントを衝撃や振動から守る特殊なサスペンション構造など、紹介しきれないほどの先進技術がわずか1個の腕時計に盛り込まれているのだから、ジャガー・ルクルトの技術は、驚異というほかない。そうした一つ一つが、未来の時計への指針を示しているのは、間違いない。

【問い合わせ先】
ジャガー・ルクルト TEL03-3288-6370

※All Aboutマガジンの「For M」と「For F」にて、2007年バーゼル・ジュネーブの特集を掲載中です。時計ジャーナリズムの第一人者である「男の腕時計」ガイドの菅原 茂氏と「ジュエリー・時計」ガイドの本間恵子氏が最新の時計事情を解説した時計ファン注目の特集。こちらも合わせてご覧ください。
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