930以来変わらない、強烈な加速、その衝撃

ポルシェ911ターボ
昨年9月のフランクフルトショーに初登場した、マイナーチェンジを受けたターボモデル。3.8リッターターボエンジンを搭載、デュアルクラッチトランスミッションの7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)と6MTを用意する。サイズは全長4450×全幅1850×全高1300mm。価格はPDKが2090万円、MTが2015万円となる

世界を代表するスポーツカーを、その性能や人気だけでなく歴史的背景をも考慮に入れて選ぶなら、まず間違いなく筆頭にくるのがポルシェ911シリーズだ。1950年代にRRレイアウトで“安価なスポーツカー路線”をはじめたポルシェは、半世紀以上に渡ってそのレイアウトを進化させ続けた。

スポーツカーとは、絶え間の無い進化と自国民への奉仕精神が表裏一体となったもの、というのが持論だから、911シリーズに匹敵するスポーツカーといえばもうアメリカのシボレーコルベットか、日本のフェアレディZ、イタリアのフェラーリV8ミッドシップくらいしかない。

ポルシェ911ターボ
オプションのスポーツクロノパッケージ(76.5万円)を選べば、ボタン1つでダンパーや変速作動をよりスポーティに制御し、ダイナミックな走行を可能にするスポーツ/スポーツプラス機能、ローンチコントロールが備わる

そんな911の最高峰が、GT2系などスペシャルなモデルを除けば、ポルシェターボだ。スーパーカー世代にとっても特別なポルシェである。

スーパーカー世代の人で、そもそも子供心に911が格好いいと思った人は少なかったはずだ。フェラーリやランボルギーニ、マセラティといった、リトラクタブルライトの格好いいイタリアンスーパーカーが全盛の時代に、いかにもギョロ目は古くさく、滑り台のようなテールもあまりにスーパーカースタイルとかけ離れていて、カエルのようだと思ったものだ。

ところが、漫画サーキットの狼でポルシェをこよなく愛する早瀬左近が、ナロー911RS(これもまた子供にとってはビミョーだった。筆者もナローやナナサンカレラが好きになったのは21世紀になってからである)からターボに乗り換えたとき、初めてポルシェが格好よくなった。ターボという名前が発する魔力と、あの大きな(今見ると随分控えめだけど)ウィングのおかげである。

以来、911はどうでもよくて、ターボだけがポルシェの中ではスーパーカーだったのだ。

子供の頃に受けた930ターボの衝撃は、今でも忘れられない。近所の方が乗っていて、隣に乗せてもらったことがあった。体がどこかにぶっ飛んでしまうかのような、何だか空恐ろしい経験。以来、ターボは強烈なクルマだという印象は、一瞬たりとも消えたことがない。

ポルシェ911ターボ
可変タービンジオメトリー(VTG)を備えた3.8リッター直噴ツインターボエンジンは、最高出力500ps/最大トルク650Nmを発生。先代モデルより排気量が0.2リッター増し、20ps/30Nm向上している。スポーツクロノパッケージを装着すると、最大トルクはオーバーブースト機能により700Nmまで引き上げられる

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