ポルシェ/ポルシェ

まったくもってポルシェなパナメーラ(2ページ目)

ポルシェの悲願でもある初のサルーン、パナメーラ。スポーツカーブランドが作った大きなサルーンは「まったくもってポルシェ」な走りでした。911とも整合性のあるその走りは……。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

911との整合性がちゃんとある

ポルシェパナメーラ
Sと4Sには最高出力400ps/最大トルク500Nmを発生する4.8リッターV8エンジンを搭載。ターボには最高出力500ps/最大トルク700Nmを発生する4.8リッターV8ターボを搭載する。ミッションは2つの湿式クラッチを備えた7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)を組み合わせた。停車時にエンジンを停止、ブレーキから足を離すか、ステアリングを動かすとエンジンが再始動するオートスタート/ストップ機能を備える

ターボと4Sに試乗した。結論から言うと、まったくもってポルシェであった。ポルシェ風味が想像以上にはっきりくっきり出ていて、驚いてしまった。最小限によく動くアシが路面をがっちりと捉えつつ、硬い鉄板が滑るようにフラットに走る。そう、911との整合性がちゃんとあるのだ。当然といえば当然だがスポーツカーしているし、4人乗りのグランドツーリングカーとしても存分に利用できる。後席の広さは十分。ハンドリングだって素晴らしい。この調子なら、サーキットでも相当にヤバい走りを見せてくれそうだ。

ちょっと軽やかすぎるかなと思うステアリングフィールも、東京の街中をセダンらしく走らせようと思えばほどよいだろう。低速域におけるPDKのマナーの悪さと、アイドルストップ再スタート時のもたつきは若干気になったが、速度を上げていけば俄然、エンジンとミッション、そしてシャシーやタイヤとの一体感が増してくるから、さすがはポルシェだ。

要するに、スポーツカーブランドが作ったサルーンはちゃんとスポーツカーだし、ラグジュアリィブランドが作ったスポーツカーはちゃんとラグジュアリカーしているということ。その原則を無理に壊せば、ブランドが廃る。そのあたりを彼らはよく知っているのだろう。

動力性能的には4Sで十分だった。ターボは確かにバカッ速だが、911の場合ほど感覚的な差が大きいとは思えない。それよりも、ターボに乗ると、どこまで速く走れば気が済むのか、自分でも制御不能に陥りそうで怖い。理性のもちように相当自信のある方以外には、ターボはオススメできない。といっても、4Sでも相当に速く走れてしまうのだが……。

ポルシェ911は人生最後にとっておくクルマだとボクは思っているが、“カタチが違う”といいながら言い訳がましくパナメーラを先に乗ってもいいかも知れない。もちろん、Sクラスに乗っていい身分になってからのことだけど。

カイエンよりもポルシェしているから、パナメーラこそ悲願のマルチドアポルシェと言っていいだろう。待てよ、次期型のカイエンはこれがベースというから、そっちもポルシェ風味が強くなるということか……。だったら理想は、次のカイエンハイブリッドとナロー73カレラRSの組み合わせ、なんて夢は膨らむよなあ。

ポルシェパナメーラ
ラゲージ容量は通常で432リッター、6:4分割可倒式の後席を倒せすと最大1250リッターまで広がる。後席はセンターコンソールをもつ左右独立式を採用
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