暖房器具は電気式が人気なワケ
電気暖房器具の中で最も種類が多い「ヒーター」
電気の暖房器具は、燃焼系の暖房器具に比べ、室内の空気が汚れにくいこと。高齢者や小さいお子さんがいる家庭では、炎が出ないため安全性が高いことなどが、人気の理由となっています。また、タイマーで入り切りができたり、温度設定が細かくできるなど、コントロールしやすく扱いやすいのも電気式暖房器具が好まれる所以です。
「電気暖房」と言っても、古くはコタツやアンカから、電気ストーブ・ホットカーペット・オイルヒーターなどなど、その種類は実にさまざまなものがあり、それぞれの長所短所も異なります。使う場所やシーンによって、適切なタイプを選ぶことで、快適性だけでなく経済的にも大きく影響するので、機器の特徴を正しく理解した上で、使い分けることをおすすめします。
しかし、家庭の一般コンセントは上限が1500Wになっているため、暖房器具の出力も1500W以内の製品しかありせん。その結果、一台で10畳を超える大きな部屋全体を暖めることはできません。また、電気式の暖房器具は、灯油など他の熱源に比べて、光熱費が高いのが最大の弱点。寒冷地などは、他の熱源と併用するのが賢い使い方といえるでしょう。
この記事では、電気式の個別暖房器具(エアコン・床暖房など施工を伴う機器を除く)を選ぶ際に必要となる基礎知識をまとめてみました。
暖房器具の分類
暖房器具は「部屋の空気を暖めるタイプ」と「身体を暖めるタイプ」の、大きく二つに分類できます。それぞれどのような機種があるのか、整理してみましょう。■部屋全体を暖めるタイプ
部屋全体を暖めるタイプ。具体的な機器は以下となります。 ここに該当する器具には、さらに2つのタイプがあります。
(1)温風で暖めるタイプ(対流式)
空気の対流を起こして部屋を暖める「強制対流」の暖房器具です。早く温まりますが、体に風があたるなど不快感があるのがデメリットです。
- ファンヒーター
温風で暖めるタイプ。立ち上がりが早いので、寒さをすぐに緩和させたい時に向く。小型なものが多く扱いやすい。部屋全体からスポットタイプまで幅広く対応可能。
温度差により生じる空気の対流で部屋を暖めるため「自然対流式」ともいわれます。自然対静かで穏やかなため快適性が高いのですが、暖まるまでの時間がかかります。
- 赤外線ヒーター(電気ヒーター)
電気ストーブ、セラムヒーター、カーボンヒーター、パネルヒーターなど、形状により名称はさまざまだが、基本的に遠赤外線ヒーターで暖めるタイプ。部屋全体を暖めるにはそれなりの時間がかかるが、立ち上がりが早いので、器具のそばならすぐに暖かさを感じる。急いで寒さを緩和させたい時に向く。 - オイルヒーター
機器本体内のオイルを加熱して暖めるタイプ。立ち上がりは遅いが、無風で柔らかな暖かさが特徴。他のヒーターに比べると価格は高め。
身体が接触することで熱が伝わり暖かくなるタイプ。部屋全体を暖めるパワーはありません。代表的なものは以下の通り。
- ホットカーペット
カーペット自体が暖かくなり、身体を暖めるタイプ。カーペットに触れていないと暖かさは感じないが、安全性が高く邪魔にならないので、導入しやすい。 - こたつ
昔からある日本の代表的な暖房。こたつの中に入っている身体の部分は非常に暖かい。居間や食卓のテーブルと兼ねられるので、省スペース。 - あんか、ひざ掛け、カイロ など
身体の一部分だけを暖める小物。最近は充電式のタイプが人気。部屋全体を暖房するより省エネなので、エコ意識の高い人におすすめ。
理想的な暖房計画~違うタイプを組み合わせる
先に書いたとおり、暖房器具にはそれぞれ暖め方に特長があります。そのため、「エアコン+ホットカーペット」「ファンヒーター+こたつ」など、【部屋全体を暖める暖房器具】と【身体を暖める暖房器具】の両方を組み合わせて使うと、快適な暖房が実現できます。
また、寒い時に空間全体の暖房を2つ使う際も、「エアコン+ファンヒーター」や「電気ヒーター+オイルヒーター」のように、【対流式】同士【輻射式】同士を組み合わせるのは不効率です。暖房器具を選ぶ際は、ぜひ、このような視点を忘れずに選んでください。
電気代について
電気暖房は1000Wを超えるものになると、その電気代も気になるところ。また、本体の消費電力はもちろんのこと、どのくらいの時間使用するのかにより、電気代が大きく変わりますので、購入時にはその点も確認しておきたいものです。1000W×1時間=1kWh=27円で計算すると…
100Wのヒーターを1時間使った場合の電気代は、2.7円となります。
1000Wのヒーターを1時間使った場合の電気代は、27円となります。
それぞれの器具の消費電力を元に計算してみてください。
例: 600Wなら、1時間で16.2円、1200Wなら、1時間で32.4円
※1kW=1000Wなので、600Wは0.6kW、1200Wは1.2kW
※参考記事:“電気暖房”の電気代ってどの位?
暖房器具のメンテナンスチェック
季節家電はシーズン終了後のお手入れが大事です。翌シーズンも快適に使うためには、どのような手入れが必要になるのでしょうか? メンテナンスのしやすさは購入時の判断材料のひとつとなるので、チェックが必要です。- ヒーター・フィルター・ガードなど、メンテナンスが必要なパーツがどれくらいあるか?
- ヒーターや本体の汚れは、どのように落とすか?
- 使用しない期間ホコリが付かないよう、カバーなどかあるか?
詳しいお手入れ方法は機種により異なります。店頭で取扱い説明書を確認すると良いでしょう。
それでは、アイテム別に選び方を整理してみましょう。
1. ファンヒーター・赤外線ヒーターの選び方
2. オイルヒーターの選び方
3. ホットカーペットの選び方
4. ヒーターのメーカー別特徴