バイク/ツーリングスポット

八ヶ岳まで、蕎麦を食べに走ろう

目指したのは八ヶ岳のふもと、中央高速の長坂ICから10分ほどにある、『翁』という蕎麦屋。東京から日帰りで行けるだけでなく、夏には涼しくて走りやすいコースです。

執筆者:埜邑 博道

夏に尻込みすることなかれ

八ヶ岳大橋
清里高原有料道路の八ヶ岳高原大橋。雄大な自然を感じられるおすすめスポット
そろそろ夏が近づいてきたということで、遠出ではない、真夏でも走りに行きたくなる日帰りプランをご紹介します。

夏のツーリングといえば、容赦なく照りつける日差しに路面からの照り返し、そして何より辛いエンジンからの発熱と、それによる車体からの熱風……。それがイヤで、真夏となるとぱったり乗らなくなるライダーは少なくないようです。

しかし、目指し甲斐があって、かつ少しでも快適さが味わえるツーリングなら、暑さに尻込みしているライダーも行ってみようという気になるはず!

今回ご紹介するツーリングは、その2点を攻略しました。お目当ては食通の間でも知られている、蕎麦好きが通う蕎麦屋、「翁」。目指す甲斐は十分にあります。また、ルートについても中央高速を使うと八王子を過ぎたあたりから山間部に入るので、走るほどに涼しくなっていきます。しかも都心から「翁」の最寄りである長坂ICまで2時間弱。快適ライディングがお楽しみいただけます。

いよいよ蕎麦を味わう

蕎麦
夏場の週末は行列が絶えることのない人気店「翁」
大月ICを抜け、甲府昭和ICにさしかかると見えてくる八ヶ岳。都心を離れてから拍子抜けしてしまうような近さです。甲府昭和ICから3つ目の、八ヶ岳のふもとにある長坂ICで下ります。そこから10分ほど走ると、木立の中に「翁」は佇んでいます。

このお店は週末になると、店の前の雑木林に順番を待つ行列ができるほどの人気ぶり。特に8月のお盆の時期がもっとも混み合い、2時間ほど待つことも。のんびり蕎麦を味わいたい方には平日をおすすめします。ただ、祝日を除く月曜と火曜は定休日なのでお忘れなく。(8月は火曜日も営業しています)営業時間は午前11時から午後3時まで。


「田舎」は殻の下にある種皮も一緒に製粉するため黒っぽくて素朴な印象
メニューは「田舎」と「ざる」の2種類のみというシンプルさ。「田舎」は、黒くて太い蕎麦で、なぜ黒いかというと、蕎麦の実の殻の下にある種皮(甘皮の部分)を含んでいるから。少量しか取れないので、生産する量も限られています。遅い時間だと売り切れている可能性も。また、「ざる」のほうはと言うと、一般的な白い蕎麦ではなく蕎麦の実の色そのものである、やや緑がかった色をしています。この色と、ほんのり漂ってくる蕎麦の実の香りが自家製麺の証です。


「ざる」は蕎麦の実と同じでほんのり緑がかっているのが特徴
さて、実際に食べてみるとどうでしょうか。その食感はさっぱりとして、ありのままを味わう感じです。これが蕎麦本来の味なのか! と思わず感心してしまいます。「田舎」は太いだけあってコシが強く、「ざる」より味があるので人気があります。香りについては「ざる」のほうが明確で楽しめるでしょう。

蕎麦の産地は主に茨城。夏には収穫の早い北海道産も仕入れているそうですが、これは新蕎麦ではなく夏蕎麦と呼ぶそうです。因みに、本来の新蕎麦とは秋から。翁では秋に収穫した蕎麦の実が時間とともに味と香りが成熟してくる1月頃が最も美味しいとのことです。

つゆは、鰹出汁の香り豊かな濃い目のもの。鹿児島の枕崎から取り寄せた枯らし節 (2年間枯らした本節) に、大分産の椎茸のダシと、本醸造のこいくち醤油に氷糖蜜やワインビネガーに味りんのかえし (2週間寝かしている) のコンビネーションは、口にしてみると不思議なほど濃さを感じさせません。
「田舎」も「ざる」も、ともに840円。手間をかけた贅沢な蕎麦ながら、意外な安さに驚きです。

次のページは「翁」の魅力を解き明かします。
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