ジウジアーロ作の先代パンダは‘80年にデビュー。なんと今年の9月5日まで生産され続けた超ロングセラーで、イタリア人の90%が知っている、正にイタリア国民車であった。
この2代目はベルトーネによるデザイン。MPV的性格を強め、小さな実用車路線をさらに突き進んだのが特長だ。日本の軽自動車よりほんの1回り大きなサイズでありながら、乗用車に必要とされる機能を最小限の大きさで最大限に実現している。コンパクトカーを作らせればやはりイタリアやフランスといったラテン系が一番であったと再認識するしかない。
実物を前にすると写真で見て想像していたよりもさらに、さらに小さく感じる。個性的なサイドウィンドウデザインがなかなかポップで、存在感もある。“こんなんパンダと違うわい!”と密かに思っていたのだが、“新しいのもいいじゃない”、と。よくあることだけどね。
インテリアは極めてローコストに仕上げられたことが一目で分かる。バリとかスジが至るところにあって、素材のプラスチックもまるでプラモデルに毛の生えた程度。イマドキ、日本の軽自動車でさえ使わないレベルのプラスチックトリムで、ここまで徹底されると逆に微笑ましい。チープなクルマなんだからこれでいい、そしてそれをデザイン力でカバーしてしまおう。イタリア人の考えることである。日本じゃ、マニアしかエクボに見てくれまい。
もっとも、だったらもっと初代で見せたシンプルで実用度の高い造形があっても良さそうだな、とは思った。それだけ初代は偉大だということだ。