力感みなぎる5気筒ターボ
内外装もアウディの「RS」の一員すなわちクワトロGmbHが手がけるクルマとして専用に仕立てられています。エクステリアがTTSよりもさらにアグレッシブになっているのは見てのとおり。ワイドなフェンダーはもとより、フロントバンパーは左右の開口部がより強調され、固定式のリアスポイラーなどが与えられています。チタンルックのホイールに255/35 ZR19サイズという大きなタイヤを履き、フロントホイールのスポークの隙間からは、「RS」マークの付く対向4ピストンキャリパーがのぞきます。ルックスからして、このクルマがただものではないことはヒシヒシと伝わってきます。
コクピットに目を移すと、「TT RS」のロゴの配された大柄なバケットシート(オプション)が備わります。バケットタイプながらダイヤル操作によりリクライニングも可能で、高いホールド感を維持しながら、より適切なポジションを取ることが可能となっています。
いかにもアウディらしく整然としたレイアウトに、ブラック地にシルバーのアクセントを配したコントラストや、メーターフードやステアリングホイール、センターコンソールやサイドブレーキに施された白いステッチも印象的。6速MTのシフトノブがとても大きいことも特徴的です。
ドライブすると、TTSでも相当に速いと感じたものでしたが、TT RSはもっとわかりやすく速い! 5気筒特有のビート感を奏でながらトップエンドまで頭打ち感なく力強く吹け上がっていきます。十分に過給されない2000rpm以下の領域では少々レスポンスが鈍く、クラッチミートにはちょっと気を使うのですが、そこを超えると別物に変貌。どこからでも鋭くピックアップしながらも、いわゆるドッカンターボっぽい強烈なトルクの盛り上がり感も味わうことができるという、本来ターボエンジンであれば相反する要素を見事に両立させて楽しませてくれます。この5気筒のサウンドと圧倒的な加速感、それをMTを操って堪能できるのが、TT RSの醍醐味といえるでしょう。
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