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上品にスポーティ度を増したXKシリーズ(2ページ目)

ジャガーのスポーティモデルXKシリーズがマイナーチェンジし、12年ぶりに一新された5Lエンジンが与えられた。また、これまで限定モデルに与えられていた「ポートフォリオ」のネーミングがカタログモデル化された。

岡本 幸一郎

執筆者:岡本 幸一郎

車ガイド

アジリティを高めたフットワーク

ジャガーブランドのフィロソフィである「美しく、速いクルマ」をもっとも体現するのがXKシリーズ
今回は、XKRコンバーチブルと、XKクーペのポートフォリオに試乗しました。510psのスーパーチャージドエンジンを搭載したXKRのコンバーチブルのエンジンは、スペックどおり非常に力強く、どの回転域からでも、ルーツ式スーパーチャージャーが、「これでもか!」といわんばかりに加速させる印象です。従来の4.2Lエンジンもよくできたエンジンだったのですが、それに比べても、トルク感は格段に上。しかも、スムーズな感覚が備わり、実に現代的に進化していました。

XKシリーズにも新採用ドライブセレクターは、見た目も使いやすさも二重マル。Dレンジにセットしたままパドルを操りシフトチェンジすると、瞬時のシフトチェンジを楽しむことができます。

XFで好評を博したダイヤル式シフトセレクター「ジャガードライブセレクター」を導入
フットワークも変化しています。実は、従来の4.2L時代には、「CATS」と呼ばれる電子制御サスペンションが与えられ、これが絶品の乗り味をもたらしていました。今回もさらによくなっていることと期待していたのですが、「アダプティブダイナミクス」と名称変更された足まわりは、ちょっと予想と違う味になっていました。

従来の足は、ソフトというと語弊があるものの、初期がよく動いて、姿勢が大きく変わりそうになると、ピタッと止めるという感じで、「こんな足がつくれるんだ」と、いたく感心したものでした。乗り心地がよく、しかも挙動変化も小さく、「猫足」と呼ばれる所以を感じさせる仕上がり。理想的な足まわりだと感じていました。快適性と操縦性と安定性のバランスが絶妙だったのです。

従来の「CATS」で可能な設定がソフトとハードの2種類のみであるのに対し、今回のアダプティブダンパー調整システムは、両極間での無段階可変ダンパー調整を実現し、走行の快適性、究極のステアリングコントロール、グリップの向上に寄与するという
ただ、「R」と名の付くクルマとしては、もう少しスポーティでもいいような気もしていました。それが新型XKRでは、まさにそうなっていて、足まわりを固めてストロークを規制していたのです。サスペンションを固めると、姿勢変化は起こりにくくなるし、荷重移動のスピードが増します。また、ステアリング操舵力が全体的に軽くなっています。こうすることで、よりアジリティ(俊敏性)を高め、スポーティな感覚を演出したのでしょう。
ADC(アクティブデファレンシャルコントロール)も、この大パワーを安全に、しかもグイグイと前に押し出すように楽しめます。

ただし、アンチロールを強調したことで、ロール感がややリニアではなくなったような気もします。従来のほうがしなやかさでは上であったことには違いありません。好み差はあるでしょうけれど、ガイドとしては、どちらが好きかと訊かれれば、微妙に従来モデルに軍配と答えそうではあります……。

XKRにはトラクションおよび動力性能を最適化する電子アクティブデファレンシャル「ADC」を初採用
次ページでXKポートフォリオの印象
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