伝統的デザインを採り入れた外観と進化した内容
エクステリアでは、20mmワイド化されたフロントグリル、往年の初代300SLから継承される1本ルーバーのフロントグリルとサイドエアアウトレット、ヘッドライトのデザイン大変更、ボンネットのパワードーム、ディフューザーデザインのリアスカート、ツインクロームエグゾーストエンドなどが変更点 |
現行SLのデビューは2001年なので、すでにけっこうなロングライフモデルとなっていますが、ビッグマイナーチェンジを機に、ひさびさにSLをドライブする機会に恵まれました。ちなみに、「SL」のネーミングが最初に使われたのは1950年代初頭のことで、「超軽量」を意味する「Super Leicht(スーパー・ライト)」の頭文字に由来します。以来、5代目を数える現行R230型まで、メルセデスのスポーツモデルのフラッグシップに君臨し、現在のメルセデスベンツのラインアップ中で、もっとも長い歴史を持っています。50年あまりで5世代と、移り変わりの激しい時代の中で、SLは一世代が非常に長いことも特徴です。
現行SLのプラットフォームは先代Eクラス(W210)をベースに、先に弟分のSLKクラスに採用された「バリオルーフ」と呼ばれる電動格納式ハードトップが与えられています。2006年に最初のマイナーチェンジが実施されましたが、内外装が微妙に変更されたほか、このときもエンジンスペックが向上しています。
そして2008年5月にビッグマイナーチェンジを実施。大きなポイントはフロントマスクの変更で、丸目4灯からメルセデスらしい吊り目のヘッドライトに変更されたほか、1本ルーバーのフロントグリルやサイドエアアウトレットなど往年の初代300SLに通じるモチーフを採り入れています。新しいトレンドの中に伝統的デザインを採り入れた、ダイナミックかつ精悍なエクステリアとなりました。
また、最新モデルに順次採用されているHDDカーナビを軸とした「COMANDシステム」や、SLKクラスでも好評だった、ヘッドレストから温風が吹き出す「エアスカーフ」や、走行状況によりヘッドライトの照射を最適に制御する「インテリジェントヘッドライトシステム」、急ブレーキ時にブレーキライトが点滅し後続車に緊急性を伝える「アダプティブブレーキライト」などが採用されています。さらに、日本の電波法の関係でこれまで採用が見送られていた「キーレスゴー」も、いよいよ採用に踏み切られました。
今回試乗したのは、SL350とSL63AMG。価格はそれぞれ1190万円/1910万円と、ちなみに弟分のSLK350を1台分ほどの差があります……。
センターコンソール後方のスイッチを操作することで、約16秒でクーペにもオープンにもなる「バリオルーフ」。万一の横転時に備え、走行中に規定値を超える急激なボディの傾きや衝撃を感知すると、座席後方に収納されたロールバーが約0.3秒で起き上がる「オートマティックロールバー」を装備 |
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