国産オープンカーも増殖
初代~2代目のFFライトウエイトスポーツ路線から一変し、「デルソル」のサブネームが与えられた3代目CR-X。「トランストップ」という、昇降するホルダーでトランクルームにハードトップを格納する独創的な機構を採用。デビュー当時の価格は137万円~196万6000円 |
その後ほどなく、CR-Xデルソル(92年2月発売)やZ32フェアレディZのコンバーチブル(92年8月発売)等のオープンモデルが登場しました。また、セリカ(90年/94年モデルチェンジ)やサイノス(96年発売)にもコンバーチブルも存在しましたが、いずれも国内の販売では伸び悩み、ロードスターやABCほどの名声を得るにはいたらなかったのは残念です。
2代目ロードスターには、下記のほかに新たに6速MTやガラス製リアウインドウの付くソフトトップなども与えられた。デビュー当時の価格は159万4000円~244万3000円 |
ロードスターは98年1月にフルモデルチェンジして2代目に移行し、車名も「マツダ・ロードスター」に。特徴のひとつだったリトラクタブルヘッドライトが固定式に変更されたことや、グラマラスになったスタイリングなどが、やや日本人の好みとは違ったようで、大いに物議をかもしたものです(北米など海外では初代同様にヒット)。やがて中古車市場では、2代目の初期モデルよりも初代の最終型のほうが相場が高いという逆転現象も見られました。
ホンダS2000
デビュー当時の価格は338.0万~356.0万円 |
1999年4月、ホンダS2000が衝撃のデビューをはたします。ハイXボーンフレーム構造による高剛性ボディ、リッター当たり125psを達成した、9000回転まで回るVTECエンジン、ショートストロークの6速MTなど、あくまで走りを意識した、「いかにもホンダらしい」硬派なオープンカー。ロードスターでは満足できなかった人、根っからのホンダファン、かつてS600/S800に乗っていた人、あるいは憧れていたけど当時は買えなかった人など、多くの熱狂的ファンを生みました。
ロードスターとはかなりキャラクターの異なるクルマだったので、ちまたのオープンカーファンも、ロードスター派とS2000派にくっきりと分かれたものでした。ちなみに、S2000のデビュー当初はピーキーと評されたハンドリングや固めだった乗り心地も、その後徐々に洗練され、現在では実に快適性が高くコントローラブルなオープンカーに進化しています。
トヨタMR-S
運動性能を追求したミッドシップというよりは、あくまで商品性の一環だったように思えるアンダーステアの強いハンドリングを示した。デビュー当時の価格は168万円~217万5000円 |
S2000発売から半年後の1999年10月、トヨタからMR-Sがデビューしました。MR2の後継車として誕生したMR-Sは、ミッドシップレイアウトを踏襲しつつ、オープンボディとなりました。ハンドリングはMR2時代よりも安定感が増し、格段にコントローラブルな仕上がりに。ややボクスター似のいたってシンプルなスタイリングは賛否両論ではありましたが、その親しみやすさゆえ女性ユーザーにも好意的に受け入れられました。発売当初は1.8LのVVT-i直4エンジン+5速MTのみの設定だったところ、2000年8月には日本車初の2ペダルMTのシーケンシャルミッション搭載車が追加設定されたことも大いに話題となりました。
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