今回試乗した仕様というのは、オプションのスポーツサスペンション(ビルシュタインベース)が装着された仕様であり、ベースとなるヴィッツRSのサスペンションよりもさらにスポーティな味付けがなされたもの。それだけに乗り心地は当然ノーマルのRSよりハードな感じになるわけだが、嫌な突き上げがなく、ボディの動きを素早く止める辺りは好印象だ。同様にオプションとなる195/45R16サイズのタイヤを履くが、その割には乗り心地も許容できる範囲にある。
RSターボはコーナリング中にアクセルを開けようものなら、即座にノーズをグイグイとインに引き込むほどの力を持っている。だからコーナリングも実に速い。しかし心してかかる必要あり。それでないとアッという間にハンドルを取られるくらいの強烈なトルクステアを持っているからだ。
ま、言ってみればこの辺りが古典的で、昔懐かしいあの日を思い起こす要素なのだけど。それにサスペンションは、まだ完璧とは言い難い仕様であるため、走行中は確かにスタビリティも高く、速さもあるわけだが、常にどこか「気を抜くと飛んでいくかも」と思わせる雰囲気がある。それもまた妙にソソるのだ。
果たしてクルマとして洗練されているかと聞かれれば、確かに「んなこたぁない」と応えたくなるのだが、それでも「面白い?」と聞かれたら、即座に「とっても」と応えたくなるのは事実。しかもその後ににやにやしながら「ジャジャ馬だよ」と新設に付け加えてあげたくなったりするのだ。
最近はどうも優等生なクルマが多くて、何かイマイチ燃えないんだよね~、とお嘆きのあなた。実は意外なところに意外なクルマがあった、というわけです。
ものは試しなので、機会があるなら試乗を強くオススメします。マジで久々に声を挙げて笑いたくなるくらいですから、本当に。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。