ブレーキ・システムの変更が、トラブルの要因となった可能性も?
減速時のエネルギーを電力へと変換するための回生ブレーキを採用したプリウス。今回の騒動では、その複雑さも誤解を招く一因となったようだ |
そのため、リコールで行われるABS制御プログラムの修正では、この油圧の立ち上がりを速くするとともに、適切な圧が掛かるように制御が変更されるものと思われます。実際、今年の1月以降のモデルでは、すでにこの新しい制御プログラムが採用されており、現状では問題も出ていないといいます。
ただし、それでも依然として若干の不安も残ります。プリウスでは、先代でも同様のシステムを採用していましたが、今回のような問題は表面化していません。では、なぜ旧型では出ていなかったトラブルが新型では発生したのか? その一因は、ブレーキ・システムを構成するパーツの変更にありそうです。
詳しい解説は省きますが、先代プリウスのブレーキ・システムでは、タイヤ1輪ごとに油圧ブレーキの液圧を計測するセンサーを備え、各ブレーキへの油圧の配分をリニアに調整可能な高精度なソレノイドバルブで行っていました。これが新型では、システムの小型化や低コスト化などを狙って、そのあたりの構成を簡略化し、他のシステムと部品の共用化を図っています。
ただ、ブレーキ・システム自体の完成度や操作フィールという点では、間違いなく先代よりも良くなっていますから、それはそれで問題ないと思うのですが、ABSの制御という繊細な作業にはやはり高精度なパーツの方が、より緻密な制御ができたのかもしれません。そうはいっても、トヨタの方でも新しいパーツで十分対応できると踏んで採用に踏み切ったはずですから、このあたりは今後の経過を見守っていきたいところです。