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“小さな巨人”iQが、時流を変える!

グッドデザイン大賞に引き続き、先般日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞したトヨタ・iQ。 全長3mにも満たないこのクルマ、果たしてどうやら自動車界に大きなうねりをもたらす“小さな巨人”となりそうです。

三代 やよい

執筆者:三代 やよい

車ガイド

「小さいからこそプレミアム」な時代の旗手

iQ
3m弱という軽自動車の規格よりももっと短い全長に、大人3人+子供1人を乗せるプレミアムスモールカー、トヨタ・iQ。日本での発売は11月20日。2009年には欧州でも発売を開始します。車両本体価格140~160万円(消費税込)

2008年度グッドデザイン大賞に引き続き、先般2008-2009日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞したトヨタ・iQ。 全長3mにも満たないこのクルマ、果たしてどうやら自動車界に大きなうねりをもたらす“小さな巨人”となりそうです。

一台の自動車を開発する際、統括者としてトップに立つのがチーフエンジニアと呼ばれる方々。例えばここに「これは素晴しい」と人々を唸らせるようなクルマが生まれたとします。その場合、大抵チーフエンジニアがとても魅力的な方なんですね。デザイン、設計、生産などなど、各方面からの頑固な意見を、時によく聞き時には反論し、最終的にひとつの信念を貫いていく。そんな強烈で揺ぎ無い信条を持った、“強い”、そして“熱い”チーフエンジニアがリードして作った場合、これはもう本当に良いクルマが生まれることが多いんです。

iQにもこの論ががっちり当てはまります。今回、天才コンパクトカーの開発指揮をお取りになったのは、トヨタ自動車株式会社 トヨタ第2乗用車センター 製品企画 チーフエンジニア 中嶋 裕樹さん。大きな身長と快活な笑顔、そして朗々とした語り口が印象的な中嶋さんは、お話させていただくごとに“強さ”と“熱さ”を感じさせてくれるエンジニアでした。

ベターより、ベスト

トヨタiQ・チーフエンジニア
iQのチーフエンジニア、中嶋裕樹さん。ゼロから革命的コンパクトカーを生み出すには、こういう方でなければ出来なかったんだろうなあ、とつくづく思わせられる、強く、熱いエンジニアです
「iQの開発にあたっては、すべてをゼロから考え、作りました」と中嶋さんは言います。トヨタ流のカイゼンといえば、既存のものをより良く、“ベター”の方向へ持っていくものとばかり考えていましたが、中嶋さん曰く、ゼロから“ベスト”を生み出すのもカイゼンなのだといいます。

ミニバンのパッケージ革命といわれた“天才タマゴ”初代エスティマの開発手法まで振り返って研究し、コンパクトな車内に最大効率を実現するべく挑んできた中嶋さん。タイヤやエンジン、駆動系の配置はもちろん、エアコンユニットの形状に至るまで、隅々に徹底した“コンパクト化”への妙案が詰め込まれているのです。なにしろパワーウィンドウひとつとっても、従来のパンタグラフ式ではiQが目標とするドアの薄さに収まりきらないため、わざわざワイヤー式を採用しているとか。iQのドアに触れる機会があれば、是非その薄さにご一驚のほどを。

リサイクルより、リデュース

トヨタiQ
世界初のSRSリヤウインドウカーテンシールドエアバッグを含む9個のエアバッグや、S-VSC(ステアリング協調車両安定性制御システム)を全車に標準装備。ボリュームやエネルギーなどの無駄はリデュースしつつも、安全性などの必要部分はしっかりと確保
しかも、“ボリュームリダクション”されたのはボディの大きさだけではありません。例えば従来のシステムをさらにシンプル・スリム化した生産ラインを活用することで、生産時のエネルギー消費率も削減。ボディ外板の塗装に関しても、焼付け・乾燥行程を一回削減する新しい塗装法を開発し、塗装時に排出されるCO2を約15%低減しています。

環境の世紀に身をおく私達。リサイクルもリユースも大事ですが、もっとも必要なのは「リデュース」すること。そういう意味で、ボディサイズも生産エネルギーも排出CO2も燃料消費率も見事にリデュースしてみせたiQは、環境の世紀のアイコンとなるにふさわしい一台といえるのではないでしょうか。

さて、そんなトヨタ・iQですが、実際乗ってみるとどんなクルマ? 試乗した感想は次のページへ。
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